日野屋(西小山)

目次

直輸入ワインとヴィンテージワインのワンダーランド

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品川区荏原の住宅街にある日野屋は、1階を利用するだけじゃもったいないワインショップ。店の中央にあるエレベーターで地下に降りると、直輸入ワインとヴィンテージワインが置かれたセラーがあるからだ。ここにはフランスやドイツを中心に、ヴィンテージワインがずらり。しかも仕入れたときの値段そのままで売られているというから驚きの良心的価格。ただし、年代の古いものは特注のローラーコンベアに乗らないと行けないエリアに置かれているため、スタッフが運んできてくれるしくみ。それを含めてワクワク感がたまらない。

直輸入ワインは古くから扱っていることもあり、500〜600アイテムと種類豊富。ここでしか手に入らないものも多くある。日野屋は秘蔵のワインが充実した知られざるお店だ。

夫婦でドイツやフランスの自社輸入ワインを開拓

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悦子さんはドイツのワインアカデミーで勉強した経歴を持つ

日野屋は、荻野義典さん・悦子さん夫妻で切り盛りされている。1936(昭和11)年に、酒屋として創業して以来、品川・荏原地区の御用聞きとして商売してきた。3代目の義典さんが継いでからは、近所の希望を聞き入れ、コンビニの形態をとった酒屋に。その中でワイン好きの義典さんはワインの品揃えを増やそうと、輸入免許を取得して、ワインの直輸入や仕入れを行い、所蔵を増やしてきた。輸入免許をとったのは1989(平成元)年というから、かなり早い。それから現在まで、ドイツやフランスにワインを買い付けに行っている。

2013年には、近所にスーパーができたこともあり、コンビニ形態をやめて専門ワインショップとして開店。直輸入ワイン・仕入れたワインとともに、これまで所蔵したワインも販売し、現在に至っている。ちなみに荻野さん夫妻は音楽が趣味で出会い、一緒にカントリーバンドを組んでいたこともあったとか。音楽とワインを極めたふたりなのだ。

熟成ポテンシャルのあるドイツ・フランスワインを中心に品揃え

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お店で扱われているワインは、1500〜2000種類にも及ぶ。そのうち500〜600種類がドイツやフランスからの直輸入ワインだ。フランスではボルドーやアルザス、ドイツの冷涼な地域が多いというが、シャンパーニュ、ブルゴーニュといった銘醸地のワインも揃えられている。直輸入ワインを仕入れる条件を聞いたところ「熟成ポテンシャルがあること」と義典さん。

「試飲してすぐにおいしいものよりも、翌年か2年後以降においしくなるものを予測して仕入れています。ワインは時間が経ったときの方がおいしさの感動が増す飲み物だと思うからです。そのため、味の奥に隠れている酸の質を見抜いています。長年飲んでいれば慣れでわかってきますよ」とポイントを教えてくれた。

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その言葉どおり酸に対するこだわりは強い。ワインの骨格を成し、熟成を左右するのが他ならぬ、「酸」だからだ。棚に並ぶワインの中で秀逸なものには「酸」という目印が付いている。

ワインを買い付けに国際見本市でドイツやフランスを訪れると、現地のワイナリーに行くこともあるという。
「醸造所を訪ねると、本当にいいワイナリーかどうか匂いでわかります。微妙な臭気が漂うワイナリーは、工具が散らかったりしている。微生物の管理がだらしないと、そのまま同じ香りがワインからします。当店で輸入しているワインは、水気がなくてクリーンなワイナリーのもの。訪ねて行くことも大切ですね」とも教えてくれた。

店内のレイアウトと楽しみ方をチェック

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エントランスには、500〜2000円のデイリーワインが並ぶ。夕飯に合わせるワインをスーパー帰りにさっと買って帰りたいときに便利。

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1Fの店内には、2000〜4000円のワインや日本酒などが揃っている。こちらには、2010年代の直輸入ワイ
ンや仕入れたワインがあるので、特別なとき以外のワインであれば十分に選べる。

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1Fの棚に並ぶワインには、オリジナルのワイン紹介が添えられている。
数枚コピーされているので、持ち帰れるようになっている

誕生日や贈り物で、特別なヴィンテージワインや高級ワインを入手したいときは、荻野さん夫妻に声をかけて地下までエレベーターで連れて行ってもらおう。

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こちらが地下へ降りるエレベーター。地下に降りると、少しひんやりとしたセラーになっている。

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地下セラーは、手前右手・手前左手・奥と3つのブロックに分かれている。お客が入れるのは手前だけで、奥は1950年代からのヴィンテージワインが年代順に所蔵されている。

手前には、高級ワインや1990年代〜2010年くらいのワインが並ぶ。ドイツやフランス各地のワインが多いがカリフォルニアやイタリアワイン、日本ワインもある。

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▲丸藤葡萄酒のルバイヤートもさまざまなヴィンテージが揃う。
「大村さんところにもないんじゃないですか?」と笑う義典さん

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▲シャンパーニュやゼクトなど、スパークリングワインの古いものもある

地下セラーの奥側へは、ローラーコンベアでしか行けないため、日野さんにお願いしていくつか持ってきてもらうしくみになっている。
「例えば、1980年のボルドーが欲しいとしたら、何本か見繕ってお持ちします。ワインの種類や液面の状態を確認していただいている間に見積書をつくりますので、好みのワインをお買い上げいただければと思います。80年代のドイツワインは今、飲み頃を迎えています。特に1988年は当たり年なのでおすすめ。甘口ワインも揃っていますよ」と買い方とおすすめを紹介してくれた。

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 ▲このローラーコンベアの奥にヴィンテージワインが眠る。
入手した当時と同じ価格で売られているので、かなりお値打ち! 

おすすめは、直輸入のドイツ&ボルドーワイン

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「ヴァイスブルグンダー2006」¥3,200 中「リースリング2015」¥3,000ともにハンスラング
右「Natur 2014」 ¥3,000 シャトー・ペナン

まずは、左2本のドイツワインのワイナリーについて教えてくれた。
「ハンスラングは、ドイツのラインガウ地方にあるワイナリーで、30年前の輸入当初から扱っています。日本ではあまり知られていませんが、欧米ではホテルのレストランのワインリストに入れられているほど評判が高いワイナリー。ラインガウの名士として知られ、ライン川沿いの日当たりのいい急斜面の優良な区画を持っています。そのため、どの年も酸がしっかりしていて安定の品質です。かなり前からビオに力を入れていることもでも知られています」。

2種類のワインの特徴はこちら。
「ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)は、果実味とミネラル、そしてコクが素晴らしいワイン。12年熟成して、花や蜂蜜の香りが漂っています。リースリングは、清らかな酸が主体となってミネラル感もあって心地良い辛口ワインです」。

さらに、ボルドーのシャトー・ペナンについてはこちら。
「シャトー・ペナンはサンテミリオンの造り手で、こちらはアントル=ドゥー=メールのワイン。名前の通りナチュラルな造りですが、元々の酸をうまく載せているので、酸化防止剤が入っていないからといって味が落ちていません。果実味があって優しいミディアムボディのメルローで、野菜や鶏肉料理にもおすすめです。今飲んでもいいですし、2〜3年待ってもいいと思います」と、飲み方を教えてくれた。

義典さんは、さまざまな料理と合わせてワインを飲むのが日課。マリアージュを考えた提案をしてくれるので、相談するのがおすすめだ。

会員登録で直輸入ワインが2割引に!試飲会も実施

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日野屋をお得に利用するなら、無料の会員登録がある。なんと店頭での直輸入ワインの購入が2割引になる。会員には、2ヶ月に一度の試飲会の案内が届き、新しく仕入れた約50種類のワインが試飲できる。試飲会では、仕入れたときに撮ってきた写真をモニターに写して説明してくれるため、現地を訪れたような気分が味わえる。予約なしで出入りも自由だ。そのほか、半期に一度セールが行われ、情報はFBでも投稿されている。また、オンラインショップも充実していて、直輸入ワインを中心に購入できる。3000円以上の購入で送料無料。ぜひ、こちらもチェックして欲しい。

日野屋
東京都品川区荏原4-17-19
10:00〜20:00 水定休
03-3782-2800
HP:http://hinoya.com