Anyway-Grapes(経堂)

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食卓にクオリティの高いワインを届けたい

「エニウェイ・グレープス」の入口は、隠れ家バーのような雰囲気。ちょっと入りにくいと感じるかもしれないが、ぜひとも階段を降りてみてほしい。地下では、世界から発掘された個性的なワインがにぎやかに出迎えてくれる。900円からあるデイリーワインも厳選して揃えられているし、店の中央にはおすすめワインが目白押し。ロゼワインやオレンジワインのコーナーもあって選びやすい雰囲気になっている。

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店内が少しひんやりするのは、品質管理がゆき届いている証拠。ワインの味わいは保存状態にかなり左右されるもの。ワインの輸入にはリーファー(定温)コンテナが浸透しているが、ワインショップの品質管理が悪ければ台無しになる。その点、こちらは温度だけでなく、湿度も調整できるエアコンが設置され、直射光も遮られる。産地と変わらない味わいが保証されているのだ。

だからといって、ワインにうるさい人だけに向けた店ではない。むしろ近くに暮らす人の食卓に、さまざまなワインを届けたい、というのが運営する高橋寿典さんの思い。実際に、個性的な地ブドウのワインを紹介したり、輸入元と一緒になって新たな生産者を発掘。その結果、南アフリカといった新興国や、フランスもサヴォワ地方まで揃えるきめ細かさ。ワイン好きにも目新しいアイテムが多くなっている。

マニアと呼べる愛好家に向けては、オールドヴィンテージを特別なバイヤーから仕入れ、先行販売というかたちでお得に提供。どんな人に向けても、いいワインを届けたいという真面目さが伝わってくるワインショップだ。

飲食業のサービス精神をワインショップでも


エニウェイ・グレープスは、1994年から創作居酒屋やワインバーを営んでいるグループの姉妹店として、2011年にオープンした。当時は、3店舗とも下高井戸にあったが、2014年にワインバーとワインショップが経堂に移転した。飲食業の一方でワインショップを開店したきっかけは?

「創作居酒屋では、日本酒や焼酎をメインに扱っていましたが、2000年代に入って、これからの食中酒を提案するにあたって、ワインのおもしろさに注目しました。ブドウの栽培や醸造の話を聞くのも興味深いし、品種もバラエティに富んでいて、とても魅力的。自宅で家庭料理と合わせられるワインもたくさんある。唐揚げとワインなんていいですよね。そういう感覚でワインを紹介したいと思いました」。そう教えてくれたのは、ワインショップを運営する高橋寿典さん。

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その言葉どおり、普段ワインを飲みなれない人にもにワインの魅力を伝えたいと、徹底して品質を追求。「いい生産者のワインを適正な価格で売りたい」と考え、ヨーロッパ以外にも品質の高いワインを求め、南アフリカの生産者を輸入元と一緒になって開拓したことも。この男気あふれる行動力は業界でも一目置かれているが、お客さんの信頼も厚い。店の中央には、高橋さんおすすめマークの入ったワインが多めに仕入れられているが、すぐに売り切れ。飲食業で培ったサービス精神が、ワイン選びにも接客にも活かされている。

注目産地や珍しいワインも豊富に品揃え

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店内には、1000種類5000本のワインがストックされている。日常的には、カウンターの下にあるデイリーワインコーナーやロゼワインコーナーをチェック。和食や魚介類にも合わせやすいワインで、価格を抑えたものが並ぶ。

国別ではフランスが多くなっているが、ブルゴーニュやボルドーだけでなく、ジュラやサヴォワといった地域のワインに開店当時から注目して扱われている。シャンパーニュも小規模生産者のものがあったり、NVで製造年がわからないがラベルが古いものがあったり、珍しいワインも並ぶ。

そのほかの国で多いのが、南アフリカ。約30のワイナリーのものを年間150種類も扱っている。
「南アフリカには3回行きましたが、ミクロクリマのためかおもしろいワインがたくさんありました。日本で入手できていないワインがあるものだと思いましたね。多くは欧米に買い占められていましたが、輸入元さんの継続した努力でいいものが入っています。現在はアパルトヘイトが廃止され、規制緩和されています。若手醸造家がいいブドウ農家とタッグを組んだ所に資本を提供する人もいて、いい環境のなかでワイン造りが進められています」。高橋さんが目をつけたワインを店で確認してみよう。

店内のレイアウトと楽しみ方をチェック

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店内は、カウンター付近から遠くになるにつれて価格帯が高くなっていく。買い求めたいワインの予算で選ぶもよし、ワインセラーに入って貴重なワインをチェックするもよし。

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▲甘口ワインコーナー。 たくさんあるが、ソーテルヌはないという個性派の品揃え。
手前のラベルの古いものはロワールのヴーヴレ!
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▲入ってすぐのところにある。ロゼワインとオレンジワインコーナー

おすすめはブルゴーニュ在住の日本人が造ったサヴォワ

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▲「Vin de France ALTESS(ヴァン・ド・フランス アルテス) 2016」
Maison Pettit Roy(メゾン・プティ・ロワ)¥4,200

おすすめの1本として紹介してもらったのは、フランスのサヴォワ地方で日本人が造ったワイン!
「シモン・ビーズやアルマン・ルソー、フレデリック・ミュニエ、ルフレーブで修行した斎藤政一くんが造ったワインです。現在はショレイ・レ・ボーヌに本拠を構えていますが、ブルゴーニュのファーストヴィンテージは2019年。その前に先行して造られたのが、サヴォワで樹齢60年という貴重な木で造られたワイン。彼の友人が耕作放棄しかけていたのを、もったいないというので、ブドウ栽培からビオディナミが実践され、造られています」

先日の試飲販売会で出したところ、大人気だったそう。「アルテスは品種由来の苦味があって、旨味とも渡り合っていけるような味。サヴォワは山岳地帯のため、ぶどうが山からミネラルを吸っているんでしょうね。その苦味が食事との相性をよくしてくれる。お出しや醤油とも合うので、和食に合わせたいワインです」

試飲会や先行予約販売を賢く利用しよう

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エニウェイ・グレープスでは、週末に5〜6本のワインが無料試飲され、月1回はテーマを決めて約10アイテムが2500円から楽しめる試飲販売会が開催。開催日やテーマは、Facebookやブログで告知されている。

さらにメールマガジンの会員登録で、月1回のオールドヴィンテージ先行予約販売が告知される。これは、愛好家に貴重な古酒をお得に楽しんでもらうための企画。特別なルートにより仕入れられた状態のいいレストランストックなどが、20%オフで入手できる。ヴィンテージ好きは要チェック!

Anyway-Grapes エニウェイ・グレープス
東京都世田谷区経堂2-13-1 B1F
10:00~20:00
火定休
03-6413-9737
HP:https://anyway-grapes.jp

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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