トロワザムール 3amours(恵比寿)

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生産者の思いをつなげる直営ショップ

ワインショップの役割の1つに生産者の思いを届けることがあげられる。自然派ワインでは家族経営の小規模な生産者が少なくない。遠く離れた世界の片隅で丹精込めて造られた1本が日本で飲めるのもワインのおもしろさ。そんな思いをつなげるためにできたのが、「トロワザムール」。
トロワザムールは、自然派ワインのインポーター「BMO」の直営店であるため、スタッフは生産者のことをよく知っている。トロワザムールという名前には、造る人、伝える人、飲む人の3つの愛(amours)という意味が込められている。ここでワインを買えば、ワインを選び、飲むたびに、小さな村の畑の風景や生産者に思いを馳せるという体験ができるのだ。
トロワザムールの店内へ足を運ぶと、ワインバーとワインカーブがガラス越しに一続きになっている。これは「飲んでおいしいと思ったら、買って帰れる」という店のコンセプトを表している。時節柄、ワインバーはお休み中だが、現在は初めて自然派ワインを飲む入口として、「Clean&Natural」というブランドを展開。自然派ワインならではのピュアなおいしさがありながら、濁りやくさみのないクリーンなワインを集めたものが揃えられている。
トロワザムールは、初心者にも自然派ワイン好きにも、その魅力を教えてくれる店。気軽にスタッフとコンタクトを図り、新しいワインの世界を見つけてみよう。

ラングドックで見つけた自然派ワイン

トロワザムールは2006年8月にBMOの直営ワインショップとして開店した。BMOは1997年に設立されたワインインポーター。代表の山田恭路さんは、ワインスクールの講師をしていた設立以前、ボルドーワイン好きだったそう。しかし、フランスのラングドックで出会ったナチュラルな味わいのワインに感動したことをきっかけにワイン発掘の道へ。自然派ワインのインポーターを設立した。

直営ショップを開店するに当たっては、パリの「ヴェール・ヴォレ」を参考にワインバー一体型のスタイルに。現在、ワインバーはお休み中だが、ナチュラルなチーズや食品もカウンターで販売され、購入したボトルとともにおうちでの楽しめるようになっている。
トロワザムールで働くスタッフも、自然派ワインとの出会いをきっかけに特別な思いを持って生産者と飲み手の橋渡し役を担っている。3年前に入社した久保田哲史さんは、それまでフランスで修業していた料理人。帰国時に地元・松本のワインバーで出会ったのが自然派ワインだった。
「元々、家族も含めてお酒が強くない体質で、飲みに行ってもワイン1杯飲めればいい方でした。ところが、自然派ワインなら体にしみわたる味わいがある。気づけば、2時間で6杯飲んでいました。生産者によって味に個性があるのもおもしろいと思いましたね」
それからはフランスに帰ってからも、自然派ワインに親しむようになった。帰国後、出張料理人をしていたときにワインと食のペアリングを追求したいと思ったことをきっかけに入社。現在はそれも強みの1つとして接客に当たっている。
「ワインを選ぶとき、夕飯と合わせたいというお客様は多いですね。自然派ワインはオーセンティックなワインよりも料理になじむ幅が広いですが、その中でも心地よく楽しめるものを研究しています。単に“豚肉”とかではなく、使用する豚肉の産地や部位、調理法まで聞いて、“これぞ”という最適な提案をしています」
また、自然派ワインは品種や産地の枠では語れないものも多い。そうした場合は、生産者の考えを説明することが1つのキーになると言う。
「生産者は、さまざまな考えでワインを造っています。そうしたストーリーまで紹介すると、ワインに表れた要素のすべてを感じ取ってもらえる。インポーター直営なので、スタッフも生産者に会ったことがある。彼らがどんな人たちでどんな思いでワインを造っているかを伝えていきたいですね」
インポーター直営だと取り扱うワインがほとんど変わらないメリットもある。生産者の成長やヴィンテージによる変化もスタッフから教えてもらえる。生産者のワインに込めた愛をキャッチしてみよう。

新しく発掘された120蔵元のワインを品揃え

トロワザムールの店内には、1FとB1Fにワインセラーがあり、420種類、120蔵元のワインが揃っている。そのうち、9割が自然派ワイン、1割が環境に配慮したサステナブルワインとなっている。フランスの銘醸地といえば、ボルドーやブルゴーニュが思い浮かぶが、こうした産地から入手困難になった人気生産者を発掘してきた。ラングロールやフラール・ルージュはその代表例。現在は、そのつながりからヴァランタン・ヴァルスなど次世代の注目生産者のワインが揃っている。
産地でいえば、ラングドックから近いフランスのルーションやスペインのカタルーニャのワインも多い。それらを“カタルーションワイン”として、フィーチャー。エネルギッシュでやさしい生産者の造りだすワインが店内でも人気となっている。
そのほか、フランス各地、イタリア、ポルトガルなどヨーロッパのワインを中心に品揃え。もちろんすべてBMOのスタッフが現地へ足を運び、エネルギーを感じる生産者のワインが輸入されている。好きな生産者が見つけ、毎年そのワインをチェックしてみよう。

店内のレイアウトをチェック

ショップのフロアは、1FとB1Fに分かれている。1Fには、よりデリケートな管理が必要なワインが置かれ、B1Fには1000円台のデイリーワインもある。価格帯はそこまで変わらないので、両方のぞいてみよう。
1Fのワインセラーには、注目のスペインやポルトガルワインもある。

B1Fは、スタッフ手描きのにぎやかなPOPも目を惹く。中央には、お買い得のワインもある。

B1Fの階段を降りてすぐ黄色いロゴが目印の「Clean&Natural」コーナーがある。

B1Fの階段下には、スタッフおすすめのワインが順次紹介されている。棚のワイン1本1本にもスタッフのコメントが書かれているので、選びやすくなっている。

1Fのカウンターの冷蔵ケースには、「ヴィアザビオ」のナチュラルチーズや「松原ミート」土佐あかうしのサラミ、大阪のフレンチ「ラ・トォルトゥーガ」のパテなど、ワインにぴったりのおつまみが並ぶ。

壁には来店した生産者のサインが所狭しと書かれている。メッセージに生産者の個性が表れているのもおもしろい。

おすすめはスペイン若手生産者のオレンジワイン

「コネクシオ・コスミカ2019」 コスミック・ヴィニャテーズ ¥4,180(税込)

おすすめとして紹介してもらったのは、スペイン・カタルーニャで造られたビオディナミのオレンジワイン。

「まだ38歳と若手のサルヴァドール・バットヤ・バラベッチュ氏が造るワインです。ワインにあるマークは調和を意味しており、ワイン造りにおける、ぶれない精神を大切にしています。彼が発した言葉で、“僕の手は畑とワインで世界とつながっている”というのがあります。つまりワインで飲む人ともつながっている。世界を旅することができなくなった今、ワインで現地の空気を伝えてくれる生産者です。

味わいとしては、色合いが濃いアンバーではないようにタンニンがやさしいしオレンジワインです。当店にもある白いウィンナーのようなやさしいソーセージにぴったり。ほのかな脂っぽさと相性がいいワインです」

店内にある食品とも合うオレンジワインをぜひ試してみたい。

SNSで新入荷の商品をチェック

現在、ワインバーや生産者の来日イベントは中止されているが、その分、おうち時間を充実させてくれる食品が充実している。名シェフとコラボした特別セットが販売されていることもある。ワインの入荷情報と合わせ、SNSをチェックしてみよう。
ショッピングにはお得なポイントカードの発行もあり、税抜き1000円で10ポイントが貯まり、500ポイント以上で使用できる(期限は最終利用から1年)。毎週水曜・日曜、毎月3日がポイント5倍デー。まとめ買いしたいときに、賢く利用するのがおすすめだ。

トロワザムール 3amours
渋谷区恵比寿西1-15-9 DAIYUビル1F、B1F
03-5459-4333
12:00〜20:00 月・火定休
https://3amours.com
Facebook:@3amourswine 
Instagram:@wineshop.3amours

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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