カーヴドリラックス本店(虎ノ門)

目次

ワインが身近に感じられる大型ワイン専門店


東京には、所蔵ワイン1500種類を超える大型ワイン専門店がいくつかある。なかでも「カーヴドリラックス」は、ワインを身近に感じられるショップだ。1999年の開店当時は、ポリフェノールによる赤ワインブームをきっかけに、セレブなワイン愛好家以外の人もワインを買い出した頃。レストランやデパートのワイン売場にあるものだったワインが、リカーショップやスーパーでも買われるようになった。そこへワインのある暮らしを日常にしてもらおうと、デイリーワインを中心とした豊富な品揃えでワインを提案。店内にある約2000種類のワインのうち、1500円までで3割、3000円台までで7割の品揃えで応え、日常を彩るワインを提案している。

また、日本ワインの開拓や直輸入ワイン(当時。現リラックス社輸入)も先駆け。店内で日本ワインはブルゴーニュに次ぐ品揃えを誇っている。販売スタッフの多さやお客様の目線に立った接客も魅力。日本にワイン文化を定着させるのに貢献してきた。

2014年からは、カーヴドリラックスのグループとして「ザ・セラー」ブランドで都市型ワインショップも展開。六本木、秋葉原、虎ノ門ヒルズの各店は、高級スーパーマーケットに併設され、ちょっと贅沢なワインやカフェに持ち込みできる新しいスタイルが好評だ。そして、2020年春からはカーヴドリラックス本店も女性店長を抜擢するなど、新体制がスタート。ますます、ワインを楽しませてくれる店づくりが期待できそうだ。

「ワインのある楽しい生活」を提案


1999年の開店当初から掲げていたカーヴドリラックスのコンセプトは、「ワインのある楽しい生活」。創業者の内藤邦夫氏は、日本人にとって特別だったワインを日常の文化にしたい、とさまざまな取り組みをしてきた。最も力を入れてきたのが、デイリーワインの開拓。開店当時は高級ワインを売る路線もあったが、手頃な価格帯のワインに舵を切った。もちろん、安くてもまずくては日常に定着しない。約20年前といえば輸入ワインは並行輸入品も多く、リーファー(定温)コンテナはない時代。ソルビン酸入りで、いきいきとした個性が損なわれている大量生産ワインも多かった。何とかこれを変えようと、フランスの生産者と直接話し合って、リラックス社輸入ワインを実現。畑の中でもいい区画を選抜したブドウで、ソルビン酸無添加、亜硫酸塩も減らしたワインを店頭に並べ、価格も1000円前後に抑えた。これが大当たりし、現在でもデイリーワインはこれと決めて箱買いする人も多い。


今でこそブームになっている、日本ワインの取り扱いも早かった。まだ、日本ワインがお土産ワインとしか思われていなかった2002年からスタート。勝沼醸造や中央葡萄酒、丸藤葡萄酒、シャトーメルシャン、タケダワイナリーが中心だった。世間ではまだこれからという時期に日本ワインを開拓し始めたのは、内藤氏がメルシャン出身というのもある。内藤氏は、現代日本ワインの父と称される麻井宇介氏の薫陶を受けた世代。産地を訪ね、本格的な辛口ワインを造ろうとしているウスケボーイズなどの若い生産者にも期待をかけ、これはと思うワイナリーのワインを次々に扱ってきた。現在も北海道や長野を中心とした新しい産地に出向いて、畑やワインの味をみたうえで、本当におすすめしたいワインだけが店頭に並んでいる。


こうしてワインの楽しみを教えてくれる店として発展してきた歴史が今春から新たになっている。創業者の内藤氏が3月で退任し、新体制がスタート。店長に抜擢されたのは、幡野圭子さん。バイヤーなどのスタッフも世代交代され、フレッシュな店づくりになりそう。幡野店長に意気込みを聞くと、「ワインとの距離を縮められる接客」を心がけたいと話す。
「ワインには白ワインと赤ワインがあって、一括りに見られがちです。でも、一歩踏み込むとカテゴリーにとどまらない魅力があって楽しみが広がります。産地や合わせる料理、その日の気分によっても変わってくるはず。多くの品揃えがある店だからこそ、お客様の目線に立った接客が必要です。それに応えられるようなワイン選びのお手伝いをしたいと思います」
変わらない親しみある接客でこれからも楽しみを提供しれくれそうだ。

デイリーから高級ワインまで何でも揃う品揃え


店内に並ぶワインは約2000種類。エリアごとに担当バイヤーがいて、それぞれ試飲してから仕入れられている。取材に応えてくれた統括マネージャーの人見裕介さんがかつてバイヤーだったときは年間1万種類のワインを飲んだという。つまり、それほど吟味されたワインが並んでいるのだ。
店内を見渡すと、ブルゴーニュやボルドーなど銘醸地を擁するフランスをはじめ、イタリア、スペイン、ドイツなどのヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、南アフリカなどの新世界、そしてジョージア、モルドバといったワイン発祥エリアのワインもある。
もっとも品揃えが多いのが、フランスのブルゴーニュ。ワイン愛好家に人気があり値上がりが激しいエリアだが、古くから仕入れているワインに加え、新しい生産者のワインの発掘にも力を入れられている。
その次に充実しているのが、日本ワイン。小規模なワイナリーが多く、生産本数が少ないものが多いため、並べた途端に売り切れるワインも。常時150種類が置かれているが、年間では800種類の扱いがあるという。いつ行っても、必ず欲しい品物があって、贈り物や記念日のワインも揃う品揃えだ。

店内のレイアウトをチェック


入ってすぐに目に入るのが、おすすめやリラックス社輸入ワイン。左手に日本ワイン、右手に海外の産地別ワインが並ぶ。奥には、ブルゴーニュやボルドー、シャンパーニュなどの銘醸ワインとバーカウンター、突き当たりには高級ワインが鎮座している。

リラックス社輸入ワインは、770円からとリーズナブル!

贈答品や記念日のワインは最も奥に綺羅星のごとく並んでいる。

棚のPOPは極めてシンプルにされている。情報は店員に聞いて欲しいというのが、そのねらい。目的や気分にあった、ワイン選びをしてもらえる。

ポートワインや甘口ワイン、リキュール類は、ヨーロッパエリアの棚の間にある。

ワインをおいしくしてくれる、ワイングッズも勢揃い。

おすすめはリラックス社輸入のワイン

「マルキ・ド・ボーラン」シャルドネなど品種ごとに7種類¥770、ピノ・ノワールのみ¥1080(いずれも税抜き)

おすすめとして紹介してもらったのは、安旨ワインとして人気のリラックス社輸入ワイン。
「前社長の内藤が南フランスのワイナリーと共同で開発したワインです。いろんな区画のサンプルをもらって、区画ごとに割合を決めてブレンドしています。開発以来、毎年サンプルを取り寄せて、一番いいと思ったものをブレンドしています。南仏というと、果実味が先行するイメージがありますが、酸もあってバランスが取れたワインです。シャルドネが人気ですが、夏ならソーヴィニヨン・ブランやロゼもおすすめです」
食卓ワインとして、自宅にストックしておきたいワインだ。食事に合わせて品種を揃えておきたい。

テーマごとにワインイベントを実施

カーヴドリラックスでは、月に2〜3回、ワインイベントが実施されている。「北海道のピノ・ノワール」など、産地や品種でテーマを設けた興味深い内容。ときには生産者を招いて話を聞くことも。じっくりとそのテーマを知ることができるものとなっている。
そのほか、ポイントが貯まるカード会員を募集している。会員になれば、1パーセントのポイントが付与され、店舗の買い物に利用することができる。お得に利用したい人はぜひチェックしてみよう。

*現在、イベントの実施は見合わせています。再開については、カーヴドリラックスホームページをご確認ください。

カーヴドリラックス本店
港区西新橋1-6-11
03-3595-3697
11:00〜20:00
http://caverelax.com
Facebook:@cavederelax
Instagram:@cavederelax

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

コメント

コメントする

目次