水橋 SAKE MIZUHASHI(六本木)

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日本で造られる注目銘柄をずらり品揃え

日本ワインがブームになり、新たにワイナリーも増えている。人気生産者はもちろん、新たな生産者を発見できる店への期待値は高い。そんな店の筆頭としてあげられるのが「SAKE MIZUHASHI」だ。

100年以上もの歴史を持つ水橋が、現在のスタイルで店をリニューアルしたのが2016年8月。それまで培ってきた蔵元やワイナリーとの関係性を強みに、日本酒やワイン、焼酎を豊富に品揃え。日本ワインでは、長野や北海道といった新規生産者が増えている地域のワインが特に多い。「人気の生産者のワインを揃えるというよりは、日本ワイン全体を応援したい気持ちが強いですね」と4代目の水橋信也さん。北から南まで、風土や個性を反映したワインを網羅。日本ワインのいまをキャッチできる店となっている。

六本木の地で時流にあった商売を

水橋の歴史は古く、創業は明治42(1909)年までさかのぼる。当時の地名は六本木ではなく麻布市兵衛町2丁目だったというから、歴史を感じずにはいられない。110年以上の移り変わりの中では、時代に合わせて店のスタイルも変わってきた。戦後から高度成長期までは、角打ちがにぎわう小売酒屋で、軒先でワンカップと乾き物で一杯やっている客も多かったという。70年代からバブル期にかけて、六本木が日本屈指の繁華街となってからは、飲食店へ酒類を卸す業務用が主体となっていった。当時は、直接、来店する客には倉庫のシャッターを開けて対応していたという。そうしたなかで、地酒ブームや焼酎ブームもあって、全国に素晴らしい蔵元があることに気づき、日本の風土が生み出す酒を発掘。日本で造られたワインの取り扱いも増えていった。こうした酒は、全国にファンがいて、小売りへの期待が大きい。「個人のお客さんにも楽しんでもらいたい」との思いが強くなり、2016年8月に店を大改装し、小売店の「SAKE MIZUHASHI」を開店した。
水橋では、10年以上前から日本ワインを扱い、黎明期を牽引してきた勝沼醸造や中央葡萄酒、小布施ワイナリーといったワイナリーとの縁が深い。今や品薄のドメーヌタカヒコや農楽蔵など個人の色が強い生産者のワインもいち早く扱ってきた。いまも店には、初めてみるような新しいワイナリーの初ヴィンテージワインがたくさん並んでいる。4代目の水橋信也さんはその理由をこう教えてくれた。
「いま日本には意欲的にワイン造りを取り組む生産者が増えています。その流れを盛り上げたいという気持ちが強いですね。実際に買いたいという方もたくさんいる。それに応えられる店でありたいと思います」
その思いは、店頭で接客に当たる店長の原口幹郎さんも同じ。原口さんは、かつて山梨でワインを醸造をしていた経歴を持つ。現在は、素晴らしい酒の世界に恩返ししたいと、伝道師として店に立っている。
「日本ワインの世界はこの20年でどんどんレベルが上がっています。ワインは並べて楽しむものじゃなくて、飲んで味わうもの。実際に自分の五感で味わって、自分の好きなタイプを紐解いてみると旅に出たような気持ちになれます。いろいろな酒を知って、そういう世界があるのを知ってほしいですね」
日本で造られた酒に熱い思いを持った人によって、営まれている。

日本の風土が造るあらゆる酒を結集

水橋には、日本で造られた酒をベースに、日本ワイン、日本酒、焼酎、ウィスキー、クラフトジンが棚に並んでいる。日本ワインは、北海道から九州まで250〜300種類もの扱いがある。日本酒も300種類あり、なかなか珍しいものがあると遠くから足を運ぶ人も多いそう。そのほか、焼酎やウイスキー、ジンはすべて含めて100種類ほどあるという。
日本ワインでいえば、長野や北海道のワインが増えているが、山梨、山形、新潟、岡山、九州と各地のワインもきめ細かく揃っている。そのなかでも、個性が際立っているものが多いという。
「皆さん、真面目に造られているので、それぞれにおいしさがあります。そのなかでも、人が造っているということが感じられるストーリーや個性のあるタイプに惹かれますね」と水橋さん。
ワインや日本酒に人柄が表れたものが多いのが品揃えの特徴となっている。手に取って、味わって、共感できる酒を見つけてみよう。

店内のレイアウトをチェック

店を入ると、すぐに新着コーナーがあり、季節の日本酒や新入荷の日本ワインなどが並ぶ。その奥に日本ワインの棚があり、その反対側の冷蔵セラーに日本酒が入れられている。奥には、日本で造られた焼酎やスピリッツ、ウイスキーなどが集められている。

店の一角にあるワインカーヴ。枯山水のような雰囲気ある空間にとっておきのワインが眠っている。

奥のスクエアテーブルにある、季節のおすすめ。贈答にぴったりのデザインボトルの品もある。

スピリッツコーナーのクラフトジンも最近の人気コーナー。

日本のウイスキーも数種類、揃えられている。

おすすめは、小布施ワイナリー

左/ソガ オーディネール シャルドネ2019 右/ソガ オーディネール メルロー2019  小布施ワイナリー

おすすめとして紹介してもらったのは、長野・小布施ワイナリーのオーディネールシリーズの赤ワインと白ワイン。
「日本ワインのなかで最も安定感のあるのが小布施ワイナリーだと思っています。オーディネールシリーズは、低価格帯で買いやすく入口としてぴったりのワインです。単純においしくて、飲みやすいですね。海外のワインにも引けを取らない果実味や余韻がある。当ワイナリーの中では比較的生産量が多く、入手しやすいのもいいですね」
店内にはワインカーブがあり、小布施ワイナリーのワインが揃っている。一度、のぞいてみよう。

新入荷情報はSNSをフォロー

水橋には、FacebookやInstagramのSNSアカウントがある。新入荷情報を中心にアップされている。日本ワインは数が少なく、すぐに売り切れてしまうものもあるので、こまめにのぞいてチェックしてみよう。

水橋 SAKE MIZUHASHI
港区六本木3-3-4
03-5545-5910
10:00〜19:00/日祝休
http://mizuhashi.jp
Facebook:@sakemizuhashi
Instagram:@sakemizuhashi

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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