角打ちワインショップnico(二子玉川)

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カフェのようにくつろげる角打ちワインショップ

2018年7月にオープンした「角打ちワインショップnico」。開店して1年足らずとは思えないほど、暮らしを楽しむ人が集う街・二子玉川になじんでいる。外から見るお店は絵本に出てくるようなかわいさだが、店内もオレンジの壁や木製のカウンターが、カフェに来たようなほっこり感を与えてくれる。出迎えてくれるのは、やさしい笑顔の新垣さんと鳥内さんの女性コンビ。肩ひじ張らずに、ワインを選ばせてくれる雰囲気がある。

店内のワイン棚は、ワインがタイプ別や味わい別で分けられ、買う人の目線に合わせたものになっている。そのほか、「初夏に飲みたいワイン」「世界の日本人醸造家」など、雑誌の特集のようなコーナーもワクワク感を与えてくれる。実際に長時間、楽しく棚を眺めているお客様も多いのだそう。

“角打ちワインショップ”にしているのも、お店の特徴の1つ。角打ちカウンターには、300〜400円で提供されるグラスワイン常時3〜4種類ある。店は13時から空いているので、ランチ終わりのちょっとした時間や、買い物前の時間に軽く飲んでいくこともできる。
こうした取り組みをする理由は、むずかしいことはわからないという人のワインの入口になりたいという思いから。ワインに詳しい人も初心者の人でも楽しめるお店なのだ。

ワインをハレの日の飲み物から日常の飲み物へ

ショップに立つのは、新垣美砂子さんと鳥内孝子さんのコンビ。店の経営やワインのセレクトには、恵比寿のワインバーに勤務する新垣さんのご主人も加わっている。ワインショップのオープンは夫婦の夢だったそう。

「もともとワインは好きで、スクールやセミナーにも通っていました。いずれワインショップを開きたいというのは、夫とも話していましたね。休日によく訪れていた二子玉川の雰囲気が好きで、物件を探していたら、この場所に巡りあえたんです。それで、脱サラしちゃいました」と笑う美砂子さん。
ワインのセレクトや店づくりには、美砂子さんや長年ワインバーに勤務するご主人のさまざまなアイデアが詰まっている。その1つがワインショップには珍しいキッズスペースの設置だ。

「うちに小さい子どもがいることもあって、状況をプラスに転じてみようと考えたアイデアです。実際に、子連れでいらっしゃるお客様もいるので。ワインを選んでいる時間だけでも、ゆっくりしてもらえたらなと思います」。美砂子さんには、小さな子どものいるママをはじめ、どんな人にもワインを楽しんでほしいという思いがある。

「日本人にとってワインはまだまだハレの日の飲み物というイメージがあります。パーティーで開けてその場で飲みきるという思い込みもその1つ。でも、今は開けてもキャップをしておけば、翌日も楽しめるワインが増えています。お客様のそれぞれのシーンで日常に合わせた飲み物になる提案をしていきたいと思います」。特別すぎない空間や雰囲気づくりの裏には、ワインを日常に寄り添ったものにしたい、という目的があった。

来るたびに発見のあるワインショップでありたい

ワインのタグやPOPは、全てスタッフ鳥内さんの手描き

壁沿いの陳列棚には、バラエティに富んだ300種類のワインが並んでいる。国や品種ではなく、タイプや味わいで分けられているが、ラベルからも個性豊かでトレンド感のあるラインナップなのがわかる。
「ワインは、私たち3人のセンサーに引っかかったおもしろいものを仕入れるようにしています。いまならオレンジワインがわかりやすい例です。それ以外も最近、濃いだけじゃないカリフォルニアワインが増えているので、“ニューカリフォルニア”としてフィーチャーしています。ワインが並ぶ棚では、毎月そういう新しさを提案したいですね」と、教えてくれた。実際、お店には定番商品が並ぶというより、一期一会の出会いも多い。「ワインを買う頻度が増えた」「おもしろいのが多くて、迷ってしまう」という声が多いとか。1本買いにきたつもりが、ついつい2、3本買ってしまう。そうした新しいワインの出会いがあるお店だ。

店内のレイアウトをチェック


店内は、入ってすぐ角打ちカウンターが目につくところにある。ワインの陳列棚はその後ろ。隠れた場所にあるセラーや掘り出しコーナーもしっかりとチェックしたい。

一枚板の角打ちカウンターには、常時3〜4種類が並ぶ。昼下がりに軽く飲めるスペースがあるのは、二子玉川では貴重。角打ちのラインナップは、現在はグラスで100〜400円だか、今後は1万円前後の高級ワインをグラスで提供する予定もあるそう。

冷蔵ケースには、自然派ワインが並ぶ。いま、一番入れ替わりが激しいのはここだそう。

掘り出しコーナー。お手頃なデイリーワインやラスト1本のワインが眠っている!

ヴィンテージワインや貴腐ワイン、ブルゴーニュ、ボルドーなどの高級ワインもあるので、ギフトや特別なときにも利用したい。

おすすめは、意外な驚きのあるワイン

左:「ガメイ2017」ソレンバーグ ¥7,900/右:「ミニマル 2016」ヴァイングート・セップモーザー¥3,550

おすすめとして紹介してもらったのは、美砂子さん自身が飲んで衝撃を受けたワイン。まずは左から。「これパッと見からしてブルゴーニュのワインですが、実はオーストラリア・ヴィクトリア州のワイン。飲んでみてもブルゴーニュのピノ・ノワールに匹敵するきれいな味ですが、その正体はガメイ。かなり収量を減らして造られています。すでにファンの間では噂になっているので、見つけたら早い者勝ち。ちょっと贅沢な大人の遊びとしておすすめです」。

右のワインはオーストリアの白ワイン。
「グリューナーフェルトリーナというオーストリアを代表する品種です。すごく旨味もあって、酸の厚みがあるやさしい飲み口のワイン。キリッとしたドライな白ワインとは対照的な味わいです。オーストリアのワインって、地味な印象がありますが、滋味深さもあるんだというのが発見でした。日本の食卓の料理にもあわせやすいワインです」と紹介してくれた。日常にときめくをくれるワインたちだ。

セミナーや試飲会イベントを毎月実施

nicoでは、ワインをもっと楽しむためのイベントが実施されている。月1回開催されるセミナーは、講師を招いてテーマごとにワインの知識と味わいを自分のものにするためのもの。カリフォルニアやドイツといったおすすめ地域などがテーマとなる。もう1つのイベントが試飲会スタイルでワインをたくさん味わうもの。こちらもオレンジワイン、日本ワインなどのテーマに沿ったものが中心となっている。いずれも目新しいワインを一度に味わえる。事前に予約して出かけてみよう。

角打ちワインショップnico
世田谷区玉川3-7-1 川渕ビル1F
03-6805-6997
火〜金 13:00〜21:00、日 13:00〜19:00
月休
HP:https://www.nico-wine.com
Instagram:@wine_shop_nico

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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