野崎商店(祐天寺)

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普段の暮らしに寄り添う自然派ワインを紹介

野崎商店は、三宿と祐天寺を結ぶ三宿通りに佇む一軒家のお店。コンセプトは「夫婦ふたりの食卓を贅沢気分にする品揃え」。今夜は食卓でおいしいものをと思ったときにぴったりの、飲み心地のいい自然派ワインが用意され、チーズやサラミ、洋菓子などは厳選して揃えられている。

ワインセラーにはたくさんのワインがあるが、普段使いに用意されているのが、4000円以下の自然派ワイン。「こんなタイプがほしい」とリクエストすれば、ワインセラーから数本チョイスされ、どんな味がするか丁寧に教えてくれる。味をしっかり伝えてもらえるワインショップは意外と少なく、それだけきちんと試飲して仕入れられているのがわかる。

それは食品のセレクトも同様。例えばチーズは専門店のフェルミエから仕入れられているが、熟成期間よりも仕込んだ玉(ホール)によって味が異なるとの思いから、わざわざ足を運んで良質なチーズを仕入れるこだわりよう。食卓の幸せを全力で応援してくれるお店なのだ。ちなみに、野崎商店の外観は立て看板が控えめに出してあるだけ。初めて訪れるときは通りすぎないように注意したい。

「あれ、1本飲みほしちゃった!」が理想

野崎商店の店主を務めるのは、野崎淳さん。現在は、奥様と夫婦ふたりで営むワインショップだが、原点は昭和20年代に野崎さんのお祖母様が始めた食料品店。3代目の野崎さんが大学時代に店を手伝っていた頃も、どこにでもある普通の商店。ナショナルブランドのビールや食料品を扱いながら、個人宅の配達もやっていたという。その後、お父様の急逝によって、就職した会社を辞め、店を継ぐ決断をしたのが野崎さん25歳の頃。

これからの店づくりを考え、専門的な品揃えを目指して揃え始めたのがワインだった。
「それまで町の商店だったので、ワインは0からのスタート。レストランに食事に行っておいしいと思ったワインの裏ラベルを見て、インポーターに電話して取引きしてもらいました。徐々にワインが充実していくなか、2003年にカミさんと結婚したときに、食卓に寄り添うワインを中心に扱うという今の店のコンセプトを考えました」

食卓に寄り添うワインとは、1つは価格が手頃なことと、もう1つは飲み心地が良いこと。
「1杯飲んでおいしいワインよりも、1本飲んでおいしいワインが理想。いつの間にか飲み切っちゃったというワインを置くようにしています。その過程でいいなと思ったのが、自然派ワイン。いま店にある4000円以下のワインはほぼ自然派です」
現在では、都内で屈指の品揃えを誇る自然派ワイン中心の店として知られている。

1600種類のワインが揃う充実の品揃え


ワインセラーにあるワインは、ストックを含めて1600種類あるという充実ぶり。本来は1000〜3000円のワインで勝負したいとの思いがあるものの、ワインの値上がりによって2000〜4000円がボリュームゾーンとなっている。4000円台までの品揃えは、ほぼ自然派ワイン。それ以上の価格帯になると、ブルゴーニュやシャンパーニュ、ボルドーなど、特別なときに飲みたいワインも揃っている。

食品は、チーズ専門店の老舗フェルミエから直接仕入れたチーズのほか、選び抜かれた店のヨーロッパの地方菓子も置かれている。

▲チーズは専門店フェルミエで味見をして仕入れられているため、味はお墨付き

▲「甘いものは大好き」という野崎さん夫婦が選ぶ洋菓子は、見た目もかわいい

店内のレイアウトをチェック

店内は、入口側とワインセラーに分かれている。入口側には、食品やスピリッツ、試飲カウンターがある。ワインセラーには、ワインがぎっしり。中央にクレマンやペティヤンなどスパークリングがあり、その周りに白ワインと赤ワインがおいてある。セラーのドア付近にはシャンパーニュやマグナムボトルも充実している。

買い物の際には、ワインセラーをのぞいてから、野崎さんにワインの相談をするのがおすすめ。値段や好みを伝えれば、何本かセレクトしてくれるので、「飲みたい」と心から思った1本を選ぼう。

おすすめは、ピュアなエキスが魅力の自然派ワイン

左)「La Clastre (ラ・クラストル)2017」Les Freres Soulier(レ・フレール・スーリエ)¥3,000
右)「PVRVLIO (プルリオ)ブランコ 2014」¥2,950

3000円くらいの旨味ののった軽やかなワインとのリクエストで紹介してもらったのがこちらの2本。まずは、左のワインから。
「南仏ラングドックのロゼなんですが、不思議なことに前の年は赤としてリリースされていました。品種はシラーが90%でテンプラニーリョが10%です。ちょっと甘めのジュラ地方の赤ワインのような味。イチゴやラズベリーのシロップのようなエキス感がある非常にチャーミングなワインに仕上がっています」。自然派らしい味わいが満喫できそうだ。

右のワインは、スペインのオレンジワイン。
「いろいろな品種のブドウが使われていて、醸しを入れてオレンジ色に仕上がっています。かりんの蜂蜜漬けやレモンティー、アプリコットの風味が混じり合っています。とても豊かな風味が楽しめるので、さっぱりした料理よりは豚肉料理や中華料理と合わせるのがおすすめです」。ピュアな味わいのなかに豊かな旨味が感じられるタイプ。聞いているだけで、飲みたい気持ちが刺激される温度感のあるコメントも野崎商店の魅力だ。

週末や不定期に試飲会を実施中

野崎商店
▲不定期の試飲会の様子。カウンターにずらりとボトルが並ぶ。時間ごとに野崎さんの説明が入る

野崎商店では、週末(土日)に試飲が実施されている。これは、おすすめボトルを有料で試すことができるもの。また、不定期でテーマを決めた会費制の試飲会も行われている。取材時には、なんと25種類もの新着ワインが並んでいた。今後は、シュナン・ブランやオレゴンなど品種や地域を絞ったテーマも考えられているそう。開催情報はホームページで公開されているので、ぜひチェックしてみよう。

野崎商店
東京都世田谷区下馬1-22-13
15:00~22:00
木曜、第2水、第3日曜定休
HP:http://www16.plala.or.jp/NOZAKI/
ブログ:https://nozakiwf.exblog.jp

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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