リ・カーリカ ランド(学芸大学)

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新しい時代に根付く、食とワインのアンテナプレイス

2020年11月、ラボ・イートイン・ショップが融合した「リ・カーリカ ランド」が誕生した。これまで飲食店を手がけてきたリカーリカが新しい業態をスタートさせたのには理由がある。もともとこの場所では、4店舗目となる飲食店をオープン予定だった。ところが飲食店をとりまく情勢は一変した。
「こういう時代に根付いた食を考えるのって、おもしろそうだよね」ーースタッフたちが前向きに考えて出た結論は、人が集まる場を軸にしたショップでも飲食店でもないスタイルだった。
中心となるのが、センターテーブル。この場所で、朝・昼・夜それぞれの時間帯でメニューが変わり、朝はお粥、昼は発酵スパイスカレー、夜はナチュラルワインと料理を出すスペースとなる。その間、ショップは営業時間の終わりまでいつでも利用できる。ワインや料理に使われている調味料や自家製パン、真空パック入りの食品を買うことも可能だ。
センターテーブルを使ったラボ機能にも注目したい。現在は、リ・カーリカの各店舗の料理人たちが集まって、新商品やメニュー開発がメインとなっているが、今後は他店の料理人や一般客も巻き込んだワークショップやインポーターを招いての試飲会などが計画されている。
リ・カーリカには、これまで飲食店で培ってきた生産者との繋がりがある。こうした安心できるおいしさを日常の暮らしに取り入れてほしいというのがリ・カーリカランドの思い。いうなれば、ここは地域に根付いた食とワインのアンテナプレイス。人と食に新しいつながりをもたらす日常を体験してみよう。

*2021年4月現在、朝粥と発酵スパイスカレーのイートインはお休みとなっています。

生産者の顔が見えるものを紹介したい

リ・カーリカランドは、学芸大学と都立大学で「リ・カーリカ」「カンティーナ カーリカ・リ」「あつあつ リ・カーリカ」を運営する株式会社タバッキの4店舗目にあたる。各店舗にはそれぞれのスタイルがあるが、こだわり食材で作られるイタリア料理とナチュラルワインというベースは変わらない。そのコンセプトが支持され、週末になれば席は予約で埋まり、地域の人気店の筆頭にあがるほど親しまれている。

各店で使われる食材は、スタッフが全国の生産者を訪ねて探し出したもの。ワインはインポーターをとおして輸入されてはいるが、コロナ前までは来日した生産者とメーカーズディナーを催したり、スタッフが研修で生産者のもとを訪れたこともあった。リカーリカランドの店長を務める酒井ゆりさんも、これまで2度、イタリアの生産者を訪ねたことがある。

「ナチュラルワインの生産者を訪ねると、ワイン造りの信念やそれに対してどういうアプローチでワイン造りをしているかを詳しく教えてくれます。彼らは話し出すと止まらなくて、訪問が3、4時間になることもありました。そういう経験をすると、ワインそのものがどうというより、その人が造ったものというイメージが強くなるんです」

実は酒井さんは、8年前まで地元・名古屋で料理人をしていた。しかし、ナチュラルワインに出会い、その不思議なおいしさの理由を知りたいと上京。タバッキに入社し、できたばかりのリ・カーリカでたくさんのナチュラルワインを提供してきた。経験を積んだ酒井さんに改めてナチュラルワインのおいしさの理由を聞くと、「ブドウの生命力と生産者の思いが重なっているからでしょうか」と教えてくれた。自分たちが生産者との橋渡し役であることに大きな役割を感じているのだ。

リカーリカランドでは、生産者の思いに加え、飲食店で培われた財産も提供される。

「私たちは売り手として1日20〜30本のワインを試飲し、ヴィンテージごとの変化も追っています。リ・カーリカランドは、飲食店の延長にできたショップ。私たちにしかできない伝え方で、生産者が生み出したものをご紹介したいと思います」

生産者そしてリカーリカから手渡される、食とワインのバトンを受け取りに行こう。

レストランストックを生かした品揃え

リカーリカランドでは、イタリアのナチュラルワインを中心に約100種類のワインが揃う。ワインのセレクト基準は、食事に寄り添う飲み疲れないもの。リカーリカの各店舗で出されるような料理に合うナチュラルワインが選ばれている。店内のイートインでも、20〜30種類のグラスワインを提供。飲んで気に入ったらボトルで買って帰ることもできる。

また、店外にあるリカーリカランドのワイン倉庫は、ほかのリカーリカ各店舗とシェアされているのもポイント。リカーリカ各店舗を利用して気に入ったものがあれば、あらかじめリクエストしておいたり、スタッフに好みを伝えれば、リ・カーリカランドで購入できる。ワイン倉庫には、時間をかけて熟成されたワインもある。現行ヴィンテージだけでなく、飲み頃ワインが入手できるのもリカーリカランドならでは。自宅のワインセラーのように利用してみよう。

店内のレイアウトをチェック


入ってすぐに目に入る、センターテーブルがリカーリカランドのシンボル。ここで、朝昼夜それぞれに変わるメニューやグラスワインを楽しんで、好みのワインや食品を購入するのがおすすめ。買い物だけを楽しみたい場合は、左側のショップゾーンに行ってみよう。

店内に入って左側のショップゾーンには、ワインや食品がずらり。食品は、リカーリカ各店舗で使用されている無農薬や無添加などの生産者の顔が見えるものが並ぶ。

リカーリカランドの焼きたてパンは、国産小麦を使って自家製酵母で発酵させたもの。

オリジナルのミックススパイス「目黒クミン」。肉料理に使うだけでなく、魚のソテーやカレーにかけても◎。

真空冷凍パックの「デリ・カーリカ」の商品も冷蔵で販売されている。

冷蔵ケースにあるオリジナルのドレッシングや、パスタにからめて使うバターも人気が高い。

おすすめは、オリジナルラベルの飲み頃ワイン

「フォッレ2004」ラ・ストッパ ¥4,620(税込)

おすすめとして紹介してもらったのは、飲み頃を迎えたオリジナルラベルの赤ワイン。

「イタリアのエミリア=ロマーニャのラ・ストッパという生産者のワインです。オーナーの堤が別の飲食店の方とワイナリーを訪ねて購入を決めたときに、ご好意でオリジナルラベルのワインを作らせてもらいました。そのときの訪問がタイヤがパンクしたり横転したりのクレイジーな旅だったので、その様子がラベルになっています。

フォッレは、メルローで造られた2004年のワインです。ワイナリーには大きなカンティーナ(ワイン蔵)があって、熟成されたタイミングでリリースされます。しっかりと熟度のあるブドウが使われているので、熟成に時間がかかっていますが、その分大人な仕上がり。エレガントで果実味があって、ほどよい熟成感もプラスされたバランスのいい1本。自分用に買っておいしかったからとプレゼント用に買われる方も多いですね」

ほかでは入手が難しい飲み頃ワインを試してみよう。

新しい情報はSNSをチェック

「極薄クラッタとパンチェッタコット」(¥2,700・税込・2人前)

イートインの営業中は、店長の酒井さんが女将となって、料理やワインが提供される。メニューは、「みんなの台所」をテーマに、おつまみだけでなくパスタやごはんセットもある。また、真空パックの新商品は続々と誕生している。店の新しい情報は、SNSでチェックしてみよう。

リ・カーリカ ランド
目黒区鷹番1-4-9 小山ハイツ1F
ショップ 12:00〜20:00
イートイン 月-金 17:00〜20:00、土日祝 12:00〜20:00
水曜定休
https://tabacchi.co.jp/ri-carica-land
Instagram:@ri.carica_land
Facebook:@ri.caricaland 

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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