助次郎酒店(七里)

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90年代から自然派ワインを紹介

日本に自然派ワインが輸入されるようになったのは、90年代後半のこと。新井順子氏や伊藤與志男氏、合田泰子氏らの尽力により、自然のままのワインが入手できるようになった。助次郎酒店は、90年代半ばからワインを中心にした店づくりに転換し、そうした自然派ワインの輸入当初から扱い始めてきた。当時の自然派ワインは、いまよりもネガティブな要素も多かったそう。「そうしたなかでも、自然なおいしいなというのは感じ取っていました」と、店主の松本和均さん。いち早く、その魅力的なおいしさに気づき、扱いを決めた。現在も自然派ワインを中心にブルゴーニュやシャンパーニュもある豊富な品揃えが特徴となっている。

また、松本さんはそのテイスティング力を活かし、2004年から雑誌『リアルワインガイド』のテイスターを務めていることでも知られる。誌面で見る丁寧な解説は、店頭やWeb販売の延長にある。自然派ワインはともすれば、選ぶのが難しいワイン。初めて飲む人にもおいしく感じられるワイン選びをモットーに、相談しやすいお店づくりを目指している。

真摯なセレクションとワイン管理

助次郎酒店3代目の松本和均さん。奥様と共に店頭でワインを販売している。

助次郎酒店の名前は、松本さんの祖父の名前に由来する。祖父の松本助次郎氏が現在の街道沿いの場所に酒屋を開いたのが現在の起源となっている。松本さんの父の2代目までは一般的な町の酒屋で、ビールやサイダーを売ったり配達して、商売していた。3代目の松本和均さんが受け継いだ後、80年後半代から酒類販売免許の規制緩和により、ディスカウントストアが登場したことで、地酒とワインの専門店に転換。当初は、アンリ・ジャイエや五大シャトーを今より遥かに安価で販売していたにも関わらず、ワインは売れなかったそう。

転機が訪れたのは、90年代後半にいち早くホームページでWeb販売を開始してから。まだ珍しかった自然派ワインやブルゴーニュ、シャンパーニュの品揃えの豊富さがワインマニアの目にとまった。そこからワイン販売が軌道に乗り、地酒の販売を上回り、現在のワイン8割、日本酒2割の品揃えに至った。今も週に一度配信されるメルマガと連動したWeb販売が好評。店頭でもその品揃えに目を丸くするワインファンも多い。こうした品揃えを可能にしているのが、試飲会でのワイン選びにある。

「うちのキモはちゃんとしたワインのセレクション。レアものに偏らず、素晴らしい生産者の発掘にも力を注いで、楽しんでもらいたいと思います」と松本さん。

また、デリケートなワインの保存状態も申し分ない。店内は、全体がセラーになるように温度や光が管理されている。途中、断熱工事の必要もあったそうだが、業者に任せると、一時的にもワインの保存状態に影響が出るため、営業を続けながら定休日を使い、松本さん自身が3年かけて完成させたそう。

真摯なワイン選びと優れた管理状態で、安心してワインが買える店となっている。

1万本近い、豊富な品揃え

助次郎酒店には、1000種類以上のワインがあり、1万本近くのワインが眠っている。品揃えは、自然派ワイン、ブルゴーニュワインが中心。そのほか、RM(レコルタン・マニピュラン:小規模な生産者によるもの)シャンパーニュやイタリアワイン、日本ワインもある。ボリュームゾーンは、2000〜3000円前後のワイン。試飲会で、造り手の個性が表れたワインやバランスのいいワインが選ばれている。なかには1000円台のコストパフォーマンスの高いワインもある。日本ワインは、リアルワインガイドとモトックスからコラボ販売されているワイナリーが中心。リアルワインガイドが厳選した日本ワインをモトックスから販売するしくみで、タケダワイナリーや酒井ワイナリーなどのワインが並んでいる。ちなみにワインには値札がついていないので、気軽に値段をたずねつつ、相談して買うのがおすすめ。

店内のレイアウトをチェック

入口からみて、手前に自然派ワインや日本ワインが揃う。ブルゴーニュやイタリア、シャンパーニュは、奥のセラーに並ぶ。レジ下の『リアルワインガイド 』『ワイナート』などのワイン雑誌は、バックナンバーも揃う。

店内奥のブルゴーニュセラー。

ブルゴーニュセラーの中には貴重なバックヴィンテージも眠る。

シャンパーニュは個性的な自然派のものが中心。

おすすめは日本のナチュラルワイン

「山のヴァンせ2020」フェルム36 ¥2,600

おすすめとしてあげてもらったのは、長野で造られた日本のナチュラルワイン。

「かつてココファームに勤めていた矢野喜雄さんが長野県・大町で造ったワインです。まだ新しいワイナリーで、自家醸造になって2年目。SO2をほとんど使っておらず、自然なワイン造りを目指しています。

こちらは2020年のヌーボー(新酒)にあたるワインで、シャルドネで造ったアンセルトラルの微発泡ワインです。味わいは、ドライだけど旨味があっておいしい。2年目になって、より完成されてきました。ヨーロッパのワインにも引けを取らないおいしさです」

長年、自然派ワインを扱う松本さんが推す1本を、ぜひ味わってみよう。

会員になってお得にお買い物

助次郎酒店を利用するなら、「助次郎ワイン倶楽部」に会員登録してメルマガを受信するのがおすすめ。会員には、週1回新着メールが配信され、特価にて購入できる。メンバー限定セールもあるので、ぜひ登録してみよう。実店舗を訪れる前に、品揃えをチェックしておくと見逃しもない。登録は無料となっている。

助次郎酒店
埼玉県さいたま市見沼区風渡野200-1
10:00〜19:00/木定休
048-683-4164
http://www.suke.co.jp/

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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