内藤和雄氏の思いを継ぐ「VIVA Italia」参加レポート

今年2月2日に開催された「VIVA Italia」。「内藤和雄氏の思いを継ぐイベントをやろう」というソムリエ・料理人・ワインショップの発案によって実施されました。思いを継ぐというのは、イタリアワインを楽しさを広める活動をスタートしようということ。VIVA Italiaは、そのキックオフパーティです。

当日はイタリア料理のシェフ達が集い、有志ソムリエが内藤氏秘蔵のワインをサービス。ワインショップからは、ラ・カンティーナ別所さん、イタリアワイン阿部さんが参戦。何やらイタリアの宴を存分に感じられそうな雰囲気と、この2人が関わるイベントなら間違いない、と参加してきました。

目次

イタリアワインを広めることに人生を捧げた内藤和雄さん


レポートに入る前に内藤さんのことを振り返りましょう。愉快な仲間に囲まれたパネルが内藤さんです!

<略歴>
内藤和雄
1964年、愛知県生まれ。料理人を経てソムリエに。南青山「リストランテ・アカーチェ」、西麻布「ヴィーノ・デッラ・パーチェ」でソムリエを務める。第1回JETカップイタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール優勝など受賞歴多数。イタリアに足しげく通って得た情報やワインのテイスティングをノートに書き溜め、蓄積。サービスに生かすとともに、アカデミー・デュ・ヴァンの講師やワイン雑誌で披露した。

内藤さんと面識はありませんでしたが、別所さんや阿部さんの口伝で、イタリアワインを広めることに人生を捧げた人だと聞いていました。内藤さんの姿をよく拝見したのは、別所さんのFacebook。イタリアワインを愛する5人で結成された「オヤジ会」というのが、月に1度「ヴィーノ・デッラ・パーチェ」で行われ、なんと営業が終わってから、朝までイタリア談義を重ねられてきました。内藤さんは亡くなる前月も参加され、パワフルに未来を語られていたそうです。
一方の阿部さんは、ご自身の信念を聞くと、必ずそこに内藤さんからの「師匠の教え」がありました。それは、「ワインは批評するものじゃなく、プレゼンするもの」だということ。阿部さんは1杯のワインを選ぶにも3、4種類をピックアップして、十分に魅力を伝えてから選ばせてくれます。内藤さんのソムリエ勉強会で、熱きイタリアワインの闘魂が注入されたのでしょう。
内藤さんは最後までイタリアと日本をつなぎ、盛り上げることに力を注いで来られました。

勉強熱心で膨大な知識と情熱を持ち合わせたといっても、謙虚でやさしい人だったというのも内藤さんが慕われた理由だと思います。ワイン王国1月号では各所から追悼メッセージが寄せられ(142人も!)、それを読むだけでどんな歩みをたどってこられたのかがわかります。
「5万円のワインも500円のワインも試飲時間とコメント量は同じ」(ヴィーノ・デッラ・パーチェ大倉さん)、「インポーター探しを手伝うことからしてくれた」(イタリア、アロイス・ラゲデール氏)「イタリアワインの輸入を始められたでしょうか」と電話でご挨拶(ラシーヌ合田さん)、JET CUPの二次予選でサービスを拝見したくて伺うと「ぜひカウンターへどうぞ」と笑顔で案内(オステリア ラ・チチェルキア連さん)と、どんなワインにも、どんな人にも柔らかな笑顔を絶やさなかったということです。

そんな内藤さんの遺志を継ぐパーティー、どんな会になっていたのでしょうか!

会場は丸の内のリストランテ・ヒロ チェントロ!

「VIVA Italia」は、昼の部と夜の部があり、立食パーティーで開催。昼夜合わせて250人の参加者がいたそうです。会場は東京駅からすぐそばの丸ビル「リストランテ・ヒロ チェントロ」でした。
受付に向かうと、ラ・カンティーナ別所さんがニコッと笑顔で迎えてくれました!
会場に入ると、夜の部のシェフ達がパネルで紹介されていました。スターシェフ揃い!
ウェルカムドリンクは、カデルボスコ! 何リットルあるんでしょうか?!

乾杯に先立ち、ラ・カンティーナ別所さんから挨拶がありました。

今日におけるイタリアワインを取り巻く状況は、多種多様な食材が店頭に並び、数多くのイタリア郷土料理を楽しめる店があります。それを享受できるスピード感たるや本国と変わらず、むしろ北から南まで網羅する意味では本国以上じゃないかなと思っています。イタリア好きにはたまらない幸せな状況がこの日本には当たり前のようにあります。しかしながら、20年前以上にさかのぼってみれば、それが当たり前ではない時代がありました。ここに至るまでにはたくさんのイタリア愛あふれる人々の絶え間ない尽力がありました。
2019年9月22日、そのムーブメントのトップランナーであり、誰よりもイタリアを愛し、生涯をかけてその魅力を伝え続けた内藤和雄くんがこの世を去りました。彼の早すぎる死は、業界にとっても彼を慕う人間にとっても大きすぎる喪失だったと思います。彼の代わりを務める人間は誰もおりませんが、彼が文字通り人生を賭けて持ち続けたイタリア食文化の明かりを絶やすことはできません。
一人ひとりの力はちっぽけかもしれませんが、彼の遺志をつなぐもの達として、命日である22日がもっともっとイタリアワイン、イタリア料理を楽しむ日にできたらと思っています。日本全国で賛同してくれるシェフやソムリエ、インポーター、酒屋、ジャーナリストの有志を募り、今後のイタリアの魅力を伝え続ける努力や発信を続けていきたいと思います。
本日、ご参加いただきました皆様にもぜひご賛同いただき、応援していただければと思います。話は長くなりましたが、内藤和雄くんの長年に渡る多大なる貢献に敬意を表し、今後ますますイタリア業界が発展しつづけていくことを願い、乾杯したいと思います。
サルーテ!ビバ、イターリア!!

乾杯の後は、食事が並び、好きなだけ飲んで食べての大宴会でした。
食欲をそそる色あざやかな前菜!
レアな色合いがたまらないビステッカ!
内藤さんの秘蔵コレクション! 永瀬喜洋さんがサーブしてくれました。
キックオフパーティーのお祝いムードを引き立てるのは、鯛の岩塩焼き!
秘蔵コレクション以外に、こんな豪華ワインも。
トリュフがこれでもか、とかけられています!
ワインは数カ所に置かれ、ソムリエ達が注いでくれます。
「イルプロフーモ」淵本さんの美しいデキャンタージュ。
キッチンではシェフ達が大忙し!
全国から集まった料理人たちが同じキッチンで奮闘するなんて、なかなか見られないシーンでした。
ジェラートはその場でかき回して、完成。ドルチェは、ティラミスやロールケーキなどたくさんありました。
「ヴィーノ・デッラ・パーチェ」の大倉オーナーと写真を撮ってもらいました。
最後のあいさつは、内藤さんの一番弟子、「リストランテ・ラ・バリック・トウキョウ」の坂田真一郎さん。
皆さまに見送られて、会場を後にしました。イタリアワイン阿部さんがとても輝いています!

会場には、イタリアワインを愛する皆さんの熱気が立ち込め、追悼といえども始まりを予感させる盛り上がりを見せていました。「VIVA Italia」は、内藤さんの月命日である22日に各レストランやワインショップで、セールや特別なグラスワインが提供されるなどの小さなイベントが実施されています。現在は短縮営業のお店もありますが、お近くに賛同したお店のイベントがあれば、参加してみてください。今月22日は、今週の金曜日です!

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 内藤さんには名古屋にいる時に大変お世話になり、後日、亡くなられたことを人伝に聞きました。

    とても残念で悲しくてなりませんが、想いを紡いでくれる方々がいらっしゃること、内藤さんはきっと天国から見ていてくれてるくれますね。

    これからも楽しみにしています!

    • コメントありがとうございます。
      昨日は内藤さんの命日ということで、この投稿を見ていただいた方がとても多かったです。月命日の22日は「VIVA ITALIAの日」ということでイベントをされているワインショップやレストランがあって、想いを紡がれているんだなと思います。本当に天国から見られていますよね。想いを紡がれているイタリアワイン界の方がイベントをやられることがあれば、またレポートなどしますね。楽しみにしていただき、うれしいです。ありがとうございます。

  • 驚きました。知人とワインの話になり、私が名古屋にいた頃に内藤さんというソムリエがいて今は東京で活躍しているんだよとネットで開けたら 死去とあり愕然としました。彼とは私が23才の時に史絵奈というイタリアンの店によく行っていた頃に知り合ったのですが、当時まだ22才なのに既にサービスマンとしての風格があり、店の料理だけでなく彼に会う事が目当てに足繁く通っていました。その後つわの舎というレストランに移っていましたが、引き続き通っていました。私が2000年に長崎に戻るまでの14年程の付き合いでした。しばらくして雑誌でヴィーノデッラパーチェというお店をやっていると知り是非行こうと思っていました。本当に残念です。遠く長崎の内藤ファンの一人として心より哀悼の意を表します。

    • 内藤さんとの思い出をコメントいただき、ありがとうございます。内藤さんの旅立ちは親しい業界の方たちにとっても驚きのできごとだったようです。病と闘っていても、それくらい直前までイタリアに情熱を注いでこられたというのが愛され尊敬された理由ですね。記事にしたイベントには、内藤さんの遺志を継ぐ全国の料理人やソムリエの方が集結されていました。飛行機の最終便ギリギリまでパーティの料理を作っていた方もいらっしゃったので、長崎にもいらっしゃるかもしれません。内藤さんの思いは、VIVA Italiaで引き継がれているはずなので、22日にそうしたイベントに出会えるといいですね。

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