Quindiクインディ(代々木上原)

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レストランのワイン体験を家庭でも

クインディの物販スペース

クインディはただのワインショップではない。33坪ある広い店内はイタリアンと日本をコンセプトにしたレストランに、物販スペースがボーダーレスに同居し、そのなかでワインが販売されている。こうした空間になった理由は「レストランの体験を家庭にも持ち帰ってほしい」との思いから。レストランで楽しんだワインや食事に使われたオリーブオイルなどを食卓でも楽しみたいというニーズに応えられている。レストランで扱われている調味料やワインは、シェフやソムリエがセレクトしたもの。それを自宅でも味わって家族や友人と共有することで、クインディをとおして生産者と消費者がつながるきっかけを作りたかったのだそう。

クインディのレストランスペース

実際、レストランでは日本の食材を使ったイタリア料理が提供されている。メニューは「北海道・美瑛 青木さんのまゆかトマト Spaghetti 」など、産地と食材、調理法が書かれ、素材の味を引き出すメニューが並んでおり、生産者が見えるような料理になっている。ワインもイタリアワインと日本ワインが提供されており、個性のある生産者のワインが多くなっている。レストランと物販スペースのワインセラーは共有されているので、ショップで購入できるのもこうした生産者の思いが色濃いワイン。レストランに併設されたスペースとはいえ、ワインの種類もかなり多いので、ワインショップとして利用するのも十分な品揃えとバラエティ。そのワインの顔ぶれを見るのも楽しいショップとなっている。

レストランサービス目線で様々なシーンに合わせたワインを提案

今田秀樹さん

クインディがオープンしたのは2018年3月。オーナーの塩原弘太さんとソムリエの今田(こんた)秀樹さんが手を組んで、物販併設型のイタリア料理店をスタートした。ワインをメインで扱うのは、ソムリエでマネージャーの今田秀樹さん。

今田さんは横浜の外資系ホテル内に入社し、イタリアレストランに配属され、キャリアをスタート。イタリア人シェフが料理を作り、プロフェッショナルなサービスを提供する先輩がいる充実した環境でサービスマンの一歩を踏み出した。このホテルのサービスマン時代にたくさんのイタリアワインをテイスティングして、特に好きになったのがピエモンテ州のワイン。職人気質でトラディショナルなワインのとりこになったという。


その後、街場のレストランでも経験を積みたいと東京・丸の内の「イル ギオットーネ」へ。ここで塩原さんと出会う。さらに代々木公園の「オストゥ」に移ってマネージャーソムリエとして経験を積み、30代前半にクインディのオープニングスタッフとしてオーナーの塩原さんと合流した。ソムリエとしてイタリアワインを扱ってきた経験が長い今田さん、ショップでのワイン販売についてはどんな思いがあるのだろう?

「僕自身、ワインショップで働いている自覚はなくて、あくまでレストランのサービスマンが選んだワインを楽しんでほしいと思っています。レストランのサービスマンは、普段から生産者やシェフの思いが込められた料理にどんなワインを合わせるか、もしくはお客様がどんなワインが好みなのか、を常に意識しています。なので、より細かいシチュエーションにあわせたワインをご提案できると思っています。いろんなお話を聞かせてもらいながら、ワイン選びすることを大切にしています」と今田さん。

サービスマンの洗練されたヒアリング力のなかでワインを選んでもらえるのが魅力といえる。

店内のイタリアワインは今田さんの得意分野だが、日本ワインは塩原さんによってセレクトされている。塩原さんは日本ワインの生産者とのつながりが強く、特に北海道のワインはかなり小規模なワインも並んでいる。日本ワインを選びたいときには、塩原さんから生産者の思いやワインの個性をいろいろな角度から伝えてもらえるだろう。

こだわり抜いてセレクトしたイタリアワインと日本ワイン

ワインセラー

物販スペースには、約250種類ものイタリアワインと日本ワインが用意されている。その約7割がイタリアワイン。ワインセラーは上から下がるに連れて、イタリア北部、中部、南部の順になっている。全体にはピエモンテ州やトスカーナ州のワインが多いが、白ワインは銘醸地であるフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州やアルト・アディジェ州のものが多い。また、産地や品種の個性が出たワインはしっかりおさえられており、今のイタリアで本当におすすめできるワインが東京の地で買えるように意識されている。例えばヴェルデッキオは特徴的なものが何種類か置かれている。

そんななかで扱いが多いのが今田さんイチオシのピエモンテ州のワイン。

今田さん

ピエモンテのワインには多様性があります!

「ピエモンテはネッビオーロ種を使用したバローロ、バルバレスコが有名ですが、同じランゲ地区でロエロだってあります。アルトピエモンテと言われるピエモンテの北のエリアには、ガッティナーラ、ゲンメ、ブラマテッラ、ボーカ、カレーマなどのランゲ地区とは違うネッビオーロ種の産地があり、個性もさまざま。ネッビオーロ種はめちゃくちゃ奥が深いのです。日常的な品種である、ドルチェットやバルベーラ、フレイザ、グリニョリーノ、ペラヴェルガだってシチュエーションよって使い分けられるのもいいですね」と話すように、さまざまな品種のワインを紹介してもらえる。

下段の日本ワイン。小規模な生産者のワインが多い。

またワインセラーの4段目には、日本ワインが約50種類ほどある。特に北海道の小規模な生産者のワインが多く、店頭に並ぶのが珍しいワインも。日本ワインに興味がある人にもおすすめの品揃えとなっている。

ちなみにワインセラーの日本ワインは在庫数や状態を見極めて、販売、サーブされているため、値札のついているワインのみが購入可能。とはいえ、気になるものがあればスタッフに聞いてみよう。

店内のレイアウトをチェック

入口付近に物販スペースがあり、その奥がレストランスペースとなっている。パッとワインを買って帰りたいときも、レストランを利用したあとでも選びやすくなっている。

物販スペースの中央にある売場
物販スペースの奥側の売場

ワイン以外にもオリーブオイルや紅茶などの食品や調味料が置かれている。また、期間限定で絵画や伊万里焼などが販売されていることもある、

ワインには今田さんによる手書きのPOPがボトルネックに下げられている。インポーターの情報そのままではなく、1つ1つ自分がテイスティングしたときの印象が書かれている。

おすすめは南ピエモンテの注目ワイン

左)ボンディ/ドルチェット・オヴァダ・ナニ 2017(2,960円)
右)オルトレトッレンテコッリ・トルネージ ・ティモラッソ・デルトーナ2021(4,620円)

今田さんのおすすめは、この秋に訪れたという南ピエモンテのワイン。まずは左の赤ワインから。

「こちらは、オヴァーダというリグーリア州寄りの南ピエモンテで造られたドルチェットです。ドルチェットはピエモンテのワインのなかでは気軽に飲める品種ですが、ボンディのドルチェットは標高の高いオヴァダらしい骨格のしっかりしたエレガントなタイプで、ボンディならではの緻密な要素もあります。樹齢も高くなってきており、ベースのドルチェットでこの複雑性でこの価格という事に驚きます。ぜひ体験していただきたいです。残念ながらこのキュヴェはこのヴィンテージで最後ですが、この上のキュヴェはさらにボンディらしさが表現できているので、それもまた楽しんで欲しいです」

もう1本のアナグマのイラストのワインはティモラッソという品種の白ワイン。

「ティモラッソは2000年前後に絶滅しかけた土着品種です。しかしヴァルテル・マッサの情熱的な啓蒙活動によってティモラッソは復活しました。今やピエモンテの誰もが注目している白ブドウであり、ティモラッソブームが起きていると言っても過言ではありません。ピエモンテを代表する黒ブドウはネッビオーロ種、白ブドウはティモラッソが今後定着していく予感があります。
今回のオルトレトッレンテは非常に小規模で実直な造り手です。彼らのティモラッソは非常に繊細で感銘を受けます。熟成すると少し蜜感が強くなり、ミネラル感も際立ってきます。フレッシュな時と表情が少し変わるのもティモラッソの魅力の一つだと思います

お店で購入すれば、南ピエモンテの産地の特徴をまじえて教えてもらえるだろう。ひと味違ったピエモンテのワインを試してみよう。

イベント情報はSNSをチェック

クインディでは月に1〜2回、ワインや食品の試飲販売会などのイベントが開催されている。情報はInstagramで発信されている。また、今田さんのInstagramでもイタリアワイン情報を発信中。気になる人はフォローしておこう。

Quindi

東京都渋谷区上原2-48-12 東洋代々木上原コーポ101
03-6407-0703
物販:11:00〜23:00
Lunch:11:30〜14:00LO、Dinner18:00〜21:30LO
無休
http://www.quindi-tokyo.net/
Instagram:@quindu_tokyo @hidekikonta

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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