欧米ワインを開拓し、空知ワインを見守る

岩見沢駅前にあるクラモチコーポレーションの歴史は古く、創業は1917(大正6)年。3代目の倉持靖彦さんは熟成を経た十勝ワインのなめらかさに驚いたことをきっかけにワインに開眼し、フランスやドイツのワインを扱うようになった。その後、日本で人気の出始めたカリフォルニアワインを直輸入。多い年は2か月に一度のペースで現地に渡っていた。当時、小規模ワイナリーだったものの、現在は大規模かつ有名になったワイナリーも多いそう。現在も自然でエレガントな造りのカリフォルニアやオレゴンのワインが直輸入されている。

そしてここ最近、岩見沢や三笠の空知地方がワイン産地となってからは、地元ワインを中心に北海道のワインを扱っている。普段から造り手とは交流を重ね、その年の苦労や出来について語り合っているとか。空知の造り手は家族経営が多いことから、ワイン愛好者がなかなか見学できる機会が少ないが、倉持さんをとおして知ることができる。10Rワイナリーのブルース・カットラヴさん、ナカザワヴィンヤードの中澤一行さん、KONDOヴィンヤードの近藤良介さんなどの栽培や醸造について、臨場感ある話を聞いてみよう。

感動するワインとの出会いを支えたい

クラモチコーポレーションの3代目でワイン担当を務めるのは、倉持靖彦さん。店でワインを扱うようになったのは靖彦さんがワインに目覚めた約30年前。十勝ワインの後には、ドイツの生産者元詰めワインに感動。日本にドイツワインを広めた古賀守氏と有志4人で1ヶ月間ドイツに渡り、一流ワイナリーで薫陶を受けた。
「エゴン・ミュラーで飲んだベーレンアウスレーゼは忘れられません。飲んだ瞬間、花畑にいるようで、畑のエッセンスや降り注ぐ太陽光線を感じる素晴らしいワインでした」

その後は単独でドイツやフランスのブルゴーニュなどを訪れ、実際に見きわめたうえで直輸入をスタート。1996年頃からは、まだ日本では2社ほどしかインポーターがいなかったカリフォルニアワインを開拓。足しげく通って、なかなか許可が下りなかった小規模な家族経営のワインを直輸入していった。
さらには秀逸な日本ワインの造り手のワインも紹介。その1つが山梨のボーペイサージュ。現在も稀少なワインが年に一度だけ入荷する。
そして、現在はワイン産地となった地元のワインにも力を入れて応援している
「空知は雪が多いため、同じ北海道の余市とくらべても収量が半分以下。そんななか、無農薬で自然なつくりを実践している人もいます。特にイレンカの永井さんや、家族経営ワイナリーの奥さん方は、女性でも炎天下で真っ黒になりながら作業する姿に頭が下がります。しかし、その分できあがったワインにはきれいな酸があって、これは空知のワインにしかないもの。実際に、岩見沢や三笠の風景を感じていただくと、そんなワインになる理由がわかっていただけると思います」と靖彦さん。

こうして秀逸なワインを探して紹介する理由は「お客様に感動を」という思いから。
「私の仕事は皆さんに素晴らしいお酒との出会いを増やすこと。飲んだ人に感動を与えられるワインを紹介したいと思っています。有名無名は関係ありません。パワーもいりますが、これからも期待に応えて探し続けたいと思います」
現在、4代目となる英誉さんもお店に入っているが、靖彦さんの探究心は衰えない。実際に話してみると、柔らかな語り口に秘められた熱意を感じることができるだろう。

店内のレイアウトと品揃えをチェック


5年前に改装された店内には、ワインを始め、日本酒や焼酎、クラフトビールが並ぶ。ワインは入口に近い手前側に北海道のワイン、奥側に海外ワイン、レジ側に山梨などの日本ワインが並ぶ。
北海道ワインは、地元空知を中心に余市や函館などのワインが並ぶ。ナカザワヴィンヤード、KONDOヴィンヤード、10Rワイナリー、ドメーヌタカヒコ、農楽蔵など人気ワイナリーも発売時期には入荷されるが、わずかな数量に限られる。ヤマザキワイナリーやタキザワワイナリー、宝水ワイン、さっぽろ藤野ワイナリーなどは比較的数量があるため時期によって巡り合えることもある。そのほか、道産の新規ワイナリーも開拓中なので、新しい出会いもあるかもしれない。ほかに日本ワインは、山梨の一升瓶ワインなどデイリーに飲みたいワインも揃えられている。
海外のワインは直輸入されたカリフォルニアやオレゴンワインをはじめ、各国のワインがある。おすすめは、エレガントで自然な造りのワイン。そのほか入手しやすい価格帯の新世界のワインも揃えられている。
日本酒や焼酎は、靖彦さんの弟である裕彦さんが担当。秀逸なものが全国から集められている。全国でも取り扱いが少ない神奈川県の瀬戸酒造の日本酒も見つけることができる
クラフトビールも約10種類用意されている。空知で開発され、アメリカで人気が高まって逆輸入的に日本でも販売され始めた「ソラチエース」の扱いもある。

おすすめは空知の風景を表現した1本

「森 2013」上幌ワイン ¥3,200

おすすめとして紹介してもらったのは、三笠の10Rワイナリーの自社畑のブドウで醸造された上幌ワインの「森」。
「ブドウが育てられた畑は、以前の農薬の影響を考えて2年間放置してから苗木が植えられ、現在は無農薬で栽培されています。ワインのよさはその土地をいかに表しているかどうか。でも、それは非常にむずかしいことなんです。その点、こちらのワインには空知の風を感じるさわやかさや涼やかさやが出て、土地の個性を表しつつあります。通常のソーヴィニヨン・ブランにはない個性が楽しめますよ」

夏の終わりのイベントをチェック

北海道はクルマでワインを買いに来る人が多いため、店内試飲はないが、テイクアウト用の試飲セットが用意されている。
また、毎年8月下旬(2019年は8月24日に開催)の「そらちワインピクニック」に合わせて、クラモチコーポレーションでも普段ストックした貴重なワインが販売される。空知のワイナリー巡りをしたり、イベントで訪れたときには、ぜひ立ち寄ってみよう。

クラモチコーポレーション
北海道岩見沢市3条西6丁目1-1
0126-22-0241
9:00〜19:00
日定休
http://www.ht-wine.com/kuramoti_corporation/
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Instagram:@kuramochi_corporation