レアものワインを開拓する伝説的ワインショップ
森田屋商店(もりたや)は、東京のワインショップでも異彩を放つ存在として知られている。のちにレアものと呼ばれるワインにいち早く目をつけ、ブームとなる頃に、それらを平然と扱っていることがよくある。そのワインを見極める力を敬ってワイン業界の若手が相談に訪れるという話も聞く。また、インターネットショップの開設はかなり早く、1997年ごろ。ワイン専門店の販売サイトとしては日本で指折りの歴史を持つだろう。極めつけは、店を訪れてもほとんどワインが陳列されていないことに驚く。エピソードのどれを取っても強烈な個性を持つ。森田屋とは、いったいどんなお店なのだろうか。
作家だからワインを造る人の気持ちがわかる
昭和5年に創業した森田屋の店主を務めるのは、3代目の森田秀樹さん。父である2代目までは所謂、街の酒屋。秀樹さんが店を手伝うようになってから、少しずつワインの数を増やしていった。その頃、買い付けたワインで始めたのがインターネット販売だった。
一方で、秀樹さんはアーティストとしての顔を持つ。若い頃から絵を描いたり、物事の価値を変える活動や作品づくりに注力。アップルストアの前で白いパイロンを投げたり、ギャラリーを日常の無駄な存在物で埋める作品をつくってきた。そのため、ワインを売ることに葛藤があったとも振り返る。
▲秀樹さんは年に一度はギャラリーで個展を開催している。こちらは2018年6月に展示された作品
「自分の作品を創作するかたわら、人が造ったワインを売るのが苦しかった。でも、クリエイティブな人の気持ちはわかるから、だんだんとその空気感も嫌じゃなくなってきた。ここ10年くらいで、作家活動をやっているから、造り手の思考で判断できると思えるようになりました」と秀樹さん。作家であることがおもしろいワインを見つけられる理由なのだ。
無駄がたくさんあるワインがおもしろい
森田屋の店頭に多くのワインは置かれていないが、ワインセラーに1000種類以上あることは間違いないそう。タイプや産地として多いのは、自然派やブルゴーニュだが、何より世界中のクリエイティブな生産者を扱っているのが特徴。どのようにしてそのようなワインを見つけてくるのだろうか?
「顔見知りのインポーターから取り寄せています。どの担当者がどんな思いで仕入れたかわかるものにしたいから自然と小規模なところから。試飲会も事務所でやるようなものに参加してます。必ず一番に行って、いいものを探す。みんながスルーしてるものを見つけてくることもありますよ」
その言葉からはインポーターと心を1つにして、いい造り手を紹介したいという思いが見える。そして試飲会で、ワインと真摯に対峙するからこそ、心を打つようなワインに巡り会えるのだろう。
とはいえ、他店が見送るようなワインを仕入れるのは、なぜ?
「僕が紹介したいと思うのは、無駄がたくさんあるワイン。すなわちそれが個性でオリジナリティ。個性があるというのは欠点があるということ。その欠点がおもしろい。いまは冴えないけど、あとで絶対おいしくなるワインを探す経験値はある。飲んでいて、ペラペラな文字情報が出てこないワインがセレクトの基準でもあります」
こうして選ばれたワインには、忘れられない魅力がある。さらに秀樹さんがワインを選ぶ時には、重視しているポイントがあるという。
「みんなテロワールに逃げるけど、ワインを造ってるのは人。ワインに、自由でおもしろい人生を歩んできたかどうかが表れている。ブームの中で、誰かがつくった道しるべを歩いたワインはつまらないね」
人生が凝縮されているようなワインに私たちは魅了されるのかもしれない。
店内のレイアウトをチェック
店内には見てのとおり、ワインがあまり置かれていない。ワインセラーには入っても構わないそうだが、倉庫のような状態なので、希望を伝えていくつか見繕ってもらうのがおすすめ。値段帯は、1000円台後半から数万円まであるので、価格帯や好みのタイプを伝えてみよう。
また、秀樹さんが座るイスの前のテーブルにさりげなく開けられたワインが数本ある。時間があれば、これらを試飲させてもらうこともできる。好みを伝えるには、これも1つの目安になるだろう。店ではインターネットからの注文が多く、そちらにもオリジナルのコメントが丁寧に書かれているが、「知ってる人に売りたいから、店に来てくれるのはうれしい」とのこと。ぜひ、お店にも足を運んでみよう。
おすすめは、最高に素敵なシュナンブラン
「ヴァン・ド・フランス ブラン・シャルム 2014」¥4,950 ラ・ヴィーニュ・ド・ランジュ・ヴァン
紹介してもらったのは、インターネット販売サイトでもトップページに載っているランジュ・ヴァンの「ヴァン・ド・フランス ブラン・シャルム」。パリで自然派ワインを初めて紹介した伝説的ワインバーのオーナーだったジャン・ピエール・ロビノ氏が、理想のワイン造りを目指してつくったワイナリーの白ワイン。樹齢40年のシュナンブランで造られている。
「ランジュ・ヴァンは、『ヴァン・ド・ターブル・ラ・クーレ・ド・ジャニエール・ブラン・キュヴェ・スペシャル2002』を扱ったのが始まり。特に『ジュリエット・ロビノ2002』は最高においしいお気に入り。時間が経つとものすごくおいしくなるワインで、実際に1ヶ月放置したものをインポーターさんに飲ませてもらって驚いたのを覚えています。『ブラン・シャルム』も2日目くらいからおいしくなるワイン。とても芳醇で、素敵なシュナンブラン。今まで飲んだシュナンブランで一番おいしいと思いました。扱った当初は売れませんでしたが、今ではどこのインポーターでも売り切れています」 と、教えてくれた。さらに詳しいコメントは、インターネットでも公開されているので、そちらもチェックしてほしい。
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コメント
コメント一覧 (2件)
ブルゴーニュワインが好きで色々探しています。
以前何度か購入させて頂きましたが、以前登録していただいていた 携帯を紛失
最近 iPhoneに変更
御社を見つけることができました。
またワインの案内を頂けましたらと
コメントありがとうございます!
あいにくこちらは森田屋さんの公式サイトではありません。
森田屋さんの公式サイトはこちらです。
http://sakemorita.com
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