はしごや酒肆(大森)

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食卓の自然なおいしさをセレクト


はしごや酒肆の店内を見渡すとワインがずらりと並んでいるが、一方で野菜やピクルス、珍しい調味料などの食品もたくさん並ぶ。同業者からは「ワインショップなのに」と言われるそう。しかし、店主の船島朝子さんは「ワインも料理も、口に入るのは一緒。食卓にのぼるものは自然でおいしいものの方がいいでしょ」と笑う。女性ならではの視点で、ワインだけでなく有機栽培の野菜やこだわりの調味料・食品が揃えられている。さらに、火曜には野菜市を開催し、野菜や果物がぎっしり並ぶ。昼下がりには近所の人でいっぱいになるのが恒例だ。

ワインは早くから扱っているだけあって、自然派ワインからフランスやイタリアの伝統的なワインまで揃えられている。最近は都内でも有数の自然派ワインショップの1つとして知られ、数少ない入荷のワインが並ぶこともある。ワインも野菜も自然なおいしさを食卓に届けるために、商品が吟味されているお店だ。

勉強会からスタートしたワインショップへの道

はしごや酒肆は1964年に朝子さんのお父様によって創業された。途中から時代に先駆けて酒屋をコンビニに転換してきたが、60歳を前に他界。朝子さんのお母様が受け継いできたが、朝子さんもそれまでの仕事をやめて店に入った。コンビニがどうも性に合わなかった朝子さんは、元の酒屋に戻すことに。しかし、日本酒や缶ビールを並べて入ればよかった時代でもなく、特徴のある店作りが求められた。

折よく取引先だった人からワインの勉強会に誘われ、参加するように。その頃、一緒に勉強会に参加していたのが、大田区の森田屋商店さんや大宮の助次郎さん。いまや東京のワインショップの老舗3店だ。個人店の集まりだった勉強会では、共同でボルドーやブルゴーニュ、イタリアのワインを仕入れるように。時代が流れ、インポーターから個店ごとに仕入れるようになった今も、よく試飲会で顔をあわせるそう。さらにワインだけでなく、物産展などでおいしい調味料や食品を見つけては、生産者を訪ねたり、卸業者を探して、仕入れるようになった。火曜の野菜市を生産している千葉県我孫子のドレミファームともそのような付き合いから。こうして、現在のようなはしごや酒肆になった。

歩みを振り返るように、朝子さんは言う。
「ボルドーやブルゴーニュが高価になってしまったたけど、そうしたワインを扱えてたのは良かったですね。今はナチュールからワインに入る人が多くなってますけど、なかにはネガティブな要素のあるワインが欲しいと言われて困ってしまうこともあります。ナチュールのワインは口当たりがやさしくて素直な果実味が魅力。食品も安心で味も確かなものを仕入れています。お客様には本当においしいものを選んでほしいですね」

試飲会からおいしい情報を届ける

店内には、2000〜3000円台を中心に1500円から数万円までのワインが、500種類以上はある。長年の付き合いからセレクトや管理に信頼のおけるインポーターから自然派ワインやフランス、イタリアのワインを扱っている。ワインを選ぶときには、必ず試飲会に顔を出すと言う。

「インポーターさんから情報だけもらってもわからないけれど、試飲会に行けば十数種類飲んでみられますよね。おいしかったな、と思うワインのことはお店のホームページに書いています。そうじゃないと、自分がお客さんだったら、何を基準に選んでいいかわからないしね」とその理由を教えてくれた。

ワインを選ぶにあたっては、価格と味が見合っていて手の届く価格というのも大切にしている。季節によって飲みたいワインも変えて、いつも新鮮なラインナップになっている。直接、お店に行ってもよし、ホームページでコメントをチェックしていくもよし。おいしいワインを見つけに行こう。

店内のレイアウトをチェック


店内は入って左側がワインエリア、右側が食品や調味料が並ぶ。ワインエリアは室温が14℃に保たれるよう、透明のビニールカーテンがかかっているので、ひと声かけて入って行こう。

▲ブルゴーニュの造り手のワインも並ぶ

▲ワインエリアの奥にはワイン雑誌の貴重なバックナンバーもある

▲ドレミファームの手作りピクルス。食卓の彩りになるだけでなくワインに合わせた手土産にしてもよろこばれる

▲レジの前には、ドレミファームから届く野菜や全国の名産品がずらり

▲醤油や料理酒、お酢も自然な造りで旨味を引き出した逸品が並ぶ

おすすめはスペインの白ワイン

▲「タガナン・ブランコ2017」エンビナーテ¥3,200

おすすめとして紹介してもらったのは、スペイン・カナリア諸島の白ワイン。
「スペインのリスタン・ブランコやマルヴァジアといった土着品種が8種類くらいブレンドされたワインです。今回、初めて取り扱うのですが、やさしい酸とふくよかな味わいが美味しいワイン。なめらかな口当たりでほっとするような味は価格以上。数が少ないので、お早めにどうぞ」。ワインの詳細はホームページでも紹介されている。

メールマガジンの登録で特別価格で提供

お店を利用するときは、メールマガジンの登録がお得。毎週配信される新着情報がコメントとともに届き、お買い物は5%オフになる。また、毎週火曜は野菜市が実施されている。千葉県我孫子のドレミファームから新鮮な朝取れ野菜や果物が並び、この日を待って一週間まとめ買いする近所の人もいる。ワインと合わせて選ぶのも、おすすめだ。

はしごや酒肆
大田区山王2-41-6
03-3774-3551
10:30~20:00
日曜定休
HP:http://www.hasigoya.co.jp

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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