ワインのおいしさで注目を集めるモルドバ。その豊かな味わいを知ると、食文化も気になってきます。モルドバは旧ソビエト連邦国の1つで、ルーマニアにも強く影響を受けた国。そうした国と同じような料理もあるものの、やはり少しずつ異なっています。今回は、輸入のために年に何度もモルドバに渡ったこともあるMold-HIROの廣仲政勝さんとモルドバ出身のクリスティーナ・トゥルカンさんとにモルドバの食文化について、教えてもらいました。

モルドバにはどんな食材や調味料があるの?

東欧の国・モルドバには日本と同じように四季があります。北緯45〜48度に位置していて年平均気温は東京よりも低め。夏は35℃近くになる日もありますが、冬は−15℃くらいになることもあるほど寒さが厳しいのが特徴。全体になだらか丘陵地で山脈地帯もないことから雨も少なくやや乾燥がち。

その寒暖差と乾燥した気候がおいしいフルーツを育て、ピーチやプラム、チェリー、イチゴ、ラズベリー、洋梨、スイカとなんでも採れます。チェリーなどはよくロードサイドで売られているそう。

野菜も豊富で、日本で見かけるようなものは同じように採れ、特徴的なのはビーツが採れることくらい。フルーツも野菜もオーガニックで育てるのが当たり前で、農作物が元気です。
肉類で最も食べられているのが、豚肉。そのほか、チキンやビーフも食べます。変わったところでは、ウサギも食べるそうです。

海に面していないモルドバは、近くの黒海で捕れたサバをよく食べます。スーパーには、マリネしたサバやスモークサバがよく売られているとか。スーパーではサーモンもみかけるものの、高価なためサバの方がポピュラー。そのほかではニジマスなどの川魚を食べます。
調味料では、「ボールシャーク」という酸味のきいたレモン風味のパウダーが人気だそう。
なめてみると確かに酸っぱくてセロリのような香りがします。かつては「ザーマ」というチキンスープも家庭で1から作られていましたが、最近ではこちらを使って風味づけするのが一般的。モルドバの味の素といったところでしょうか?!
左がボルシャーク。右も同じような調味パウダー。近年は手軽に本格的な味が出せる調味料が人気。

モルドバの伝統的な家庭料理とは?

ポピュラーなおふくろの味といえるのが、「ママリガ」と「トカナ」。ママリガは、とうもろこしパウダーに水を加えて作るマッシュポテトのようなもの。お米のような感じで、主食として食べられています。トカナは豚肉と玉ねぎを煮た料理。家庭で味付けが異なるようです。ママリガとトカナは写真の通り、2つをカレーライスのように皿にのせてサワークリームをつけて食べられます。ワインと関係が深い国だなと思う料理が「ザーマ」。こちらは、少し酸味のあるチキンスープにスパゲッティのような卵麺が入ったスープ。ワインを飲んだ翌日に温かいザーマをいただくと、二日酔いに効くといわれているのだそう。

モルドバの家庭では、かつて朝から晩御飯の用意をするほど、時間をかけてスープをとったりお肉を煮込んだりしていました。ザーマのスープも野菜からダシをとって時間をかけて作られていましたが、最近は共働きも増え、先ほど紹介したボルシャークで代用する家庭が増えているそうです。

モルドバ版のロールキャベツといえるのが「サルマーレ」。挽肉をキャベツで巻いてサワークリームをつけていただきます。さらにモルドバ版の水餃子が「ペレメニ」。こちらもサワークリームをつけます。サワークリームは、お肉をさっぱりとする効果があっておいしそうですね。

また、フランスのラタトゥイユに似ているのが「ギベシ」。野菜を煮込んで冷たくしてディルをかけていただきます。ラタトゥイユと違ってトマトは入っていませんが、野菜がくったりしているので似たような風味を感じました。
代表的なロシア料理の「ボルシチ」はモルドバでも食べられています。しかし、肉料理の印象があるロシアのボルシチと違ってモルドバではキャベツが多いイメージ。写真のようにキャべツとビーツを細かく切ったスープが、モルドバのボルシチ。肉を入れる家庭もあるものの、多くは入れず、キャベツとビーツだけという家庭も多いそうです。こちらにもサワークリームをたっぷりつけます。
夏の終わりに仕込んで、寒い冬まで待って食べられるのが野菜のピクルス。丸ごと仕込むのがモルドバ流。キャベツもトマトもなんとスイカも、丸ごと仕込み、スイカは皮ごと食べられるそう。シャキシャキとした歯ざわりを楽しみながら、ワインやビールの前菜としていただきます。

モルドバでよく飲まれるお酒は?

モルドバでは、ワイン発祥の国とも言われることもあって、ワインはよく飲まれます。オーガニックな大地で育ったモルドバのワインは素直なブドウの味わいがおいしいです。ワインとともによく飲まれるのがビール。大手会社のビールもローカルの会社のビールもあります。おつまみは、ワイン・ビールともにスモークサバが好まれるようです。

東京近郊でモルドバ料理や食文化が体験できるお店は?

いろいろと読んでいると、モルドバを実際に体験したくなります。そこで、モルドバ料理が食べられる飲食店やワインショップをご紹介します。

Mold-HIRO

モルドバワインの輸入会社による直営ショップ&レストラン。ワインやジャムが購入できるほか、モルドバ料理が食べられるレストラン・バーを併設。店内に入ると、モルドバ刺繍のクロスや国旗がお出迎え。接客に当たるのは、民族衣装を着たモルドバ出身のクリスティーナ・トゥルカンさん。大学で観光を学んでいたため、モルドバのことは何でも教えてくれる。ワインは土着品種が中心で厳選されたものばかり。グラスワインも豊富なので、モルドバの郷土料理とぜひ合わせていただきたい。
千葉県八千代市勝田台1-27-25
勝田台駅から徒歩2分

居酒屋NOROCノーロック

アットホームな雰囲気でモルドバとロシアの郷土料理がいただける居酒屋。モルドバ出身の奥様が中心となり、ロシアやモルドバ出身のスタッフが料理を提供。ボルシチやペレメニをぜひモルドバワインで。テーブルやカウンターだけでなく座敷席もある。
東京都葛飾区亀有5-19-2 2F
亀有駅徒歩5分

アルビーナアンジェラ モルドバマーケット

アルビーナとはモルドバで蜂の意味。スタッフが養蜂した蜂蜜やプロポリスとモルドバの食品が買える店。モルドバ出身のグラデュン・アンジェラさんが店主を務める。モルドバワインも提供されている。
東京都目黒区1-27-2 ひかり街1F
自由が丘駅徒歩1分

お話を聞いたのは…
Mold-HIROモルドヒロ
千葉県八千代市勝田台1-27-25
047-779-3436
11:00~15:00、18:00~23:00
月火定休 *水曜「しんふな ビアガーデン&モルドバワインナイト」参加の場合は休み
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