こんにちは、編集長です。
きのうに引き続き、「おうちでLIVE with WINE」長野県高山村編レポートをお届けします。

《出演者》
・信州たかやまワイナリー 鷹野永一さん
・カンティーナ・リエゾー 湯本康之さん
・司会 LIFE with WINE 柳佐織さん
《コンテンツ》
・ワイナリーツアー
・醸造家交換トーク

信州たかやまワイナリーを鷹野さんがご案内

ワイナリーツアーは、信州たかやまワイナリーからスタート。鷹野さんが敷地内から登場です。この日は晴れて暑く、「朝から草刈りをしていたけど、10時くらいにはバテてしまった」とワイナリーの裏にある畑を写しながら説明。鷹野さんが作業しているということは、自社畑なんですかね。「何の品種が植わってるんですか?」との柳さんの問いに、「ここはね、ザ・シュヴァル・ブラン区画」と鷹野さんドヤ顔。ボルドー・サンテミリオンの格付けで頂点に立つシャトー・シュヴァル・ブランと同じく、メルローとカベルネフランが植栽されているんですね。3年目なので今年から収穫できるそう。「非常に楽しみ」と鷹野さん。

さて鷹野カメラは、向きを変えてワイナリーにズームイン。傾斜地に立つ醸造所は、入口がコンクリートの坂になっていて、そこがレセプション(ブドウの受入れ口)になっていました。収穫時期は、ここで選果作業するんでしょう。レセプションの奥にはプレス機などが置かれていました。実はこの場所は中2階のようになっていて、プレス機で絞られたジュースは下の階のタンクに落ちるようになっていました。ポンプを使わずそのまま重力で落とすシステム。「クラヴィティフローってやつですかね!」と鷹野さん。ワイナリーを設計するときには、地の利をうまく利用してお金かからない経営をやられているそう。こういう道具選びやワイナリーのしくみづくりも醸造家の大事な仕事ですね。タンクのある下に降りると、今年仕入れたという宇宙船のような特注のタンクがありました。
「主に赤ワインの醸しに使っています。アルコール発酵中に果冒が上がってくるんですが、テーパーがあるので少し抑えられ、抽出の効率が高まるのを期待して、特注で作ってもらいました。タンクって、大体レディメイドなんですよ。飲み口や形の大きさは、その都度話しあって決めています」とこだわりのタンクを説明してくれました。

さらに隣にある樽庫。ここで鷹野さんは、樽熟成についても思いを披露。
「樽熟成は樽に入れておしまいじゃなくて、めつぎをしたり、その都度育てることをしないといけない。フランス語で樽熟成のことをエラバージュというんですけど、éleverって育てるという意味合いが強いんですよ」。その言葉どおり、夏の間も温度コントロールして管理しているそうです。
ワイナリーの中をざっと説明してもらうだけでも、どんなワイン造りをされているかが、わかってきますね。

カンティーナ・リエゾーを湯本さんがご案内

信州たかやまワイナリーから300Mほどというカンティーナ・リエゾーの設備も湯本さんが案内してくれました。「うちは、立て坪20坪の小さなワイナリーです。平屋でワンフロアに収まっているので、ぐるっと全部見渡せます」。ヨーロッパに行ったときに思い描いていた小さなワイナリーを実現されてるんですね。
湯本さんが使われていたプレス機は、こちらのバスケットプレス。
「赤も白もすべてこれでプレスしています。手動の機械なので、自分で造ってるって感覚がある方がいいなと思って。機械だとボタンを押したら終わりなので。手の感覚がいいですね」とバスケットプレスへの熱い思いを披露。バスケットプレスは、上から下に力を加えるのが基本なので、本当にシンプルな力仕事。この感覚が好きというのは、昔ながらのワイン造りをしてくれる造り手なイメージがあります。樽も見せてくれましたが、こちらの樽はイタリア産。
「樽のオーク材自体はフレンチオークで、それをイタリアの職人が組み立てたものです。樽は焼き加減とかで変わってきて、1個1個違います。工業的じゃなくて面白いですね。通常のワイナリーでは225ℓや228ℓですが、私のところは300ℓと350ℓです。樽が小さいとその影響がワインに出る。樽が主張して欲しくないので、大きめの樽を使ってます」と湯本さん。バリックからの樽香を抑えたピュアな果実味を尊重されているんですね。

鷹野&湯本 醸造家どうしの交換ワイントーク!

今回、特別企画として、お互いの乾杯ワインを交換して評価し合うトークの時間も設けられていました。これは必聴ですね。トークの一部はこんな感じでした。

鷹野:(カンティーナ・リエゾーのサクラサクラを飲んで)これは1本のタンクだけで造ってるの?
湯本:搾って、最初に48時間果皮につけて、それをプレスして、かなり色の濃い状態にしてます。
鷹野:48時間だとまだ発酵が始まった感じゃない?
湯本:少しですね。なんちゃってマセラシオンです。
鷹野:うん。少しマセラシオンカルボニック的なニュアンスを感じる。やっぱり酸が高いね。でも、食事と一緒と考えると、ちょうどいいのかもしれない。
湯本:ヨーロッパの方が来ると、誰も酸っぱいって言わないんです。
鷹野:その酸が存在感を保ってるともいえるね。
湯本:うちは信州たかやまワイナリーと違って、設備がそこまでクリーンじゃないので。このくらいの酸を保ってないとなかなか(醸造が)難しい。
鷹野:いや、でも一方で(クリーンで)個性がないと言われることもあるし。葛藤ですよ葛藤・・・。
湯本:(信州たかやまワイナリーの)シャルドネをいただいてますけど、自分がイメージしてたのは、王道のブルゴーニュでしてたけど、意外とコートドールの南(の風味)ですね。柔らかい感じがします。
鷹野:それは心がけている。
湯本:酸がくる感じじゃない。ふわっとしてる。
鷹野:ブドウが熟した状態から(醸造を)スタートしてる。やっぱりブドウは畑じゃないと熟さない。栽培者の人には早く獲ろうと散々言われる。でも、もうちょっと待ってよ。過熟なくらいになってるかも。
湯本:今、主体としてはどの辺の標高のものが多いですか?
鷹野:シャルドネは意外と低いところ。ワイナリーと同じくらいか、ワイナリーより低いところ。
湯本:栽培歴、樹齢が長いところ?
鷹野:シャルドネもだんだん標高の高いところに植えてますね。
湯本:高山村全体が標高の高い畑が増えてる。畑のイメージでしょうか。ちょっとずつ北に。あとは温暖化の影響もありますかね。

聞いているだけでお二方がどんなスタイルのワインを志向しているのか伝わってきますね。ワイナリー設備から見ても割と二人のスタイルは対象的。鷹野さんがクリーンな環境で現代的な造りを志向しているのに対して、湯本さんはイタリア的な小さな手造りのワインのイメージ。でも、鷹野さんがクリーンと言われることの葛藤をぽつりとつぶやいていたのや、収穫を待ったりしているのを見ると、クリーンさだけでない丸さや複雑さも表現したいんだな、というのが伝わってきました。こういうのが醸造家どうしのトークのおもしろさですね。
そう思うと、単にワイナリー見学に行っただけではわからないいいイベントでした。企画してくださった、柳さんに感謝です。動画はまだFacebookの「LIFE with WINE 」内で公開されているので、ぜひ皆さんも映像付きで見てみてください。それでは、また明日〜!