Però ペロウ(三軒茶屋)

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気分に合うグラスワインと、シーンに合うワイン

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ペロウは、ワインショップの顔を持つだけでなく、カフェやグラスワインを気軽に楽しめる店。セレクトショップ感覚で、スタッフが本当におすすめしたい食品やクラフトビールも販売されている。思い思いの時間を店内で過ごすなかで、その日の気分によって、コーヒーを飲んで、ワインを買ったり買わなかったりと自由に店を使ってほしいというのがコンセプト。もちろんワインセラーに直行して、そのまま買って帰ってもいい。

ただし、カフェを利用するにもショップを利用するにも1つのルールがある。それが、マネージャー森田雅人さんとコミュニケーションをとること。グラスワインを注文するときにその日の気分を伝えたり、ワインを買うときにどんなシーンに合わせたいかを伝えてみると、さりげない会話から、自分にフィットした時間やモノを提案してくれる。

セラーに置かれるワインの条件は、心地よく完熟したブドウを使用されたものであること。おのずとナチュール系のワインが多く、レアものが発見できることも。ふらりと立ち寄れば、心をくすぐるワインや時間に出会えるお店なのだ。

ワインが日常になじんだライフスタイルを提案したい

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▲2014年から2年間イタリアに渡った経験を持つ、マネージャーの森田雅人さん

ペロウは、2017年10月にオープン。同じ三軒茶屋にあるイタリア料理店のオーナー金田真芳さんが、これまでストックした熟成ワインが気軽に楽しめるワインショップを開きたいとの思いからスタートした。マネージャーとして白羽の矢が立ったのが、森田雅人さん。さまざまな経験を持つ森田さんと店づくりに対して意見を出し、いまのかたちになったのがペロウなのだ。

「僕はレストランでのサービス以外に、イタリアで2年弱働いていた経験があります。ピエモンテのワイナリーで働いていたときは、栽培や収穫をして働くなかで、そこに根付いた文化を感じました。日本はワインを造る文化や飲む文化が元からあったわけではありません。だから実際にワイン文化が根付いた土地で働いた経験を持つ人が、『このワイン、いいでしょ?』と提案する、そういう構図を作りたいかった。ソムリエとは違う視点やスタイルで、その人にフィットしたワインを提案したいですね」と森田さん。

そんな森田さんが店づくりのベースにしたのは、ローマにいた頃に働いていたカフェLITRO(リトロ)だ。

「イタリア人は、スタッフとやりとりして、自分に合ったものを頼むのがこなれているんです。リトロでのそんな空気感が好きでしたね。ペロウもそういう場にしたいから、あえてグラスワインのメニューを作っていません。日本人は、『シャルドネ』とメニュー書いてしまうと何となく知ってる品種を選んでしまうんですね。そうじゃなくて、僕を利用してもらうことで、好きなものを見つけてほしい。お客様に心地よくフィットしたものを提案させてもらうようにしています」。 その人が本当に求めているものに応えたいという森田さんのサービススタイルが店のかたちとなって表れているのだ。

からだが喜ぶ純度の高いワインを飲んでほしい

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ワインショップスペースには、約500種類のワインが揃えられている。イタリアワインが多いものの産地や生産者にはこだわっていない。セレクトの基準をあげるとすれば、「からだが喜ぶ純度の高いワイン」だという。

「僕自身、あまりお酒が強くないので、頭が痛くなったり飲み進められないワインはダメ。健全で完熟したブドウを使っていることが選定の条件です。おのずと農薬を使わず生態系を整えた畑のものになるので、自然派が多くなっています。飲んでみてフルーツとしての熟度が高いのも大切にしているところです。すると結果として、飲み心地がいいワインにたどり着くんです。そういう意味で、お客様にも『味に騙されないで、からだに聞いてみてください』と言っていますね」。その言葉通り、スッとからだに馴染むようなワインが揃えられている。

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▲「まだ知られていない生産者を発掘するのも僕の務め」と、
日本であまり見かけないワインもたくさん紹介されている。
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▲ワインの1本1本に産地や特徴が書かれた札が下げられている

店内のレイアウトと楽しみ方をチェック

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ドアを開けると、手前がカフェスペース、奥がワインショップになっている。店内のカウンターでさっとコーヒーを飲んでもいいし、ゆったりとグラスワインを飲んでもいい。おつまみも充実している。

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お店をじっくりと利用したいなら、まずはグラスワインを飲んでみよう。常時15〜20種類のワインが開けられているので、いまの気分を森田さんに伝えれば最適な1本を選んでくれる。こちらのグラスワイン用のワインは、ショップからだけでなく、オーナー金田さんのストックからも開けられる。そのため、貴重なバックヴィンテージのワインに出会えるかもしれない。

ワインショップでワインの相談をするときは、シーンを伝えると良い。どんな食事に合わせたいか、誰にプレゼントするか、どんなパーティーに持ち込むかと言った目的に合わせてセレクトしてもらえる。

また、購入したボトルは、抜栓料1000円を支払えば、テーブルでもいただける。ワイン好きの間で、2軒目でナチュールワインを飲みたいときなどによく利用されているそう。

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 ▲店内のカフェスペースには、世界各地からセレクトされた食品や調味料、クラフトビールが置かれ、
販売されている。パスタやチョコレート、ポップコーン、醤油、味噌とランナップは幅広い。

おすすめは、飲み心地が素晴らしいイタリアワイン

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▲「VITOVSKA(ヴィトフスカ) 2012」 Vodopivec(ヴォドピヴェッツ)¥7,500
 

ワインショップの中からおすすめしてもらったのは、イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のヴォトピペッツという生産者の白ワイン。

「これは、ゆっくり時間をかけていいだしが取れているワインです。ブドウのエキスが余すことなくボトリングされて、さまざまな味わいが溶け込んでいます。とにかく飲み心地が本当に素晴らしくて、ここまで飲み心地のいいワインに出会ったことがないくらい。イタリアで一番だと思いますね」と熱を込めて教えてくれた。これこそが森田さんの言う“完熟ワイン”と言う1本なのだ。

趣向を凝らしたワインイベントを開催

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ペロウでは、毎月さまざまに趣向を凝らしたイベントが開催されている。生産者を招いたグラスワインイベントもあれば、レストランやそば屋とのコラボレーションイベント、コーヒーセミナーなど。イベントの告知は、Facebookで公開されている。また、営業時間の変更やグラスワインの顔ぶれは、Instagramにアップ。おいしく気さくなお店の情報をぜひチェックしてみてほしい。

Però ペロウ
東京都世田谷区三軒茶屋1-40-11 B1
火~金17:00〜24:00、土15:00~24:00、日15:00〜21:00
月休(不定休あり)
03-5432-9784
HP:http://pero.wine
Instagram:@pero_winestore_stand

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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