プティットメゾン(駒沢大学)

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隠れた産地の秀逸ワインまでずらり

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「カーブ・ド・プティットメゾン」 は、その名のとおりパリにありそうな小粋で愛らしい店構えのワイン専門店。ウッディさがクラシックな雰囲気を漂わせる店内には、世界の産地から届いたワインが揃う。ジョージアやギリシャなど注目度の高い国のワインがあるだけでなく、フランスの棚をみればジュラやサヴォワ地方など日本では見かけない地域のワインもある。ブルゴーニュ1つとってもコート・ドールだけでなくコート・シャロネーズの村々のワインもきめ細かく取り揃えられているし、シェリー酒など各地の特徴的なワインの扱いもある。

もちろん、ただ珍しいワインを集めているのではなく、その地域で特筆すべき生産者のワインが吟味されている。それもそのはず、店主は国際ワインコンクールの審査員やワインスクールの講師を務める内池直人さん。来店した生産者もうなる品揃えで、ワインジャーナリストなどその道のプロも利用。ワインに関する著書の多い葉山考太郎さんが1日店長を務めたこともある。

ワインの陳列にもこだわりがあり、店内の右側が赤ワイン、左側が白ワインになっているなど、お客様が選びやすいように分けてある。さらにタイプ別の棚を見ると、地図を巡るように、ワイン産地を旅するようにとの思いから、地図の北から順になっている。例えば、ブルゴーニュ周辺であれば、上段から下段にかけて、シャブリ&オーセロワ地区ーコート・ド・ニュイ地区ーコート・ド・ボーヌ地区といった順に。品揃えにも店巡りにも、ワイン好きに楽しさを提供してくれる店なのだ。

国際ワインコンクールの審査員も務める店主

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カーヴ・ド・プティットメゾンの歴史は、90年代後半にさかのぼる。店主・内池直人さんの実家は明治2年創業の酒問屋だったため、大学卒業後はビール会社に修行がてら入社。そこでワインを専門にした商売をしたいと思い立ち、3年半勤め上げた後、フランスに留学。ワインアカデミーや大学の集中講座を経て、可能性を見出したのがインターネット販売。ECサイト自体が珍しかった97年にカーヴ・ド・プティットメゾンはインターネット販売としてスタートした。

その後、順調にインターネットワイン専門店と成長するなかで、倉庫にまでお客様が訪れることも。実店舗の必要性を感じ、全国でもお客様が多かった世田谷に店を構えたのが2004年のことだった。以来、14年に渡って愛され、現在はインターネットと実店舗で営業している。

その間、内池さんはワインの知識を充実させることにも余念が無い。 2012年に現在でも日本で3人しかいないブルゴーニュ委員会認定ワイン・インストラクターの資格を取得。現在までで、ワインの国際コンクール審査員やアカデミー・デュ・ヴァンなどの講師も務めるなど、ショップ以外でもワインの素晴らしさを伝える活動をしている。

内池さんに品揃えのこだわりを聞くと、「当店でしか揃えられないようなものは積極的に仕入れるようにしています」との答え。世界にある知られざる優れたワインをくまなく紹介したいという思いがうかがえる。店内をぐるりと巡ったあとは、おだやかで紳士的な語り口の内池さんとの会話を楽しみながら、買い物したい。

豊富な品揃えのなかに掘り出し物がずらり

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店内には、1500種類ものワインが豊富に揃えられている。インターネット店でも同量のラインナップがあるが、ときに希少なものは店頭にしか売られていないこともあるとか。産地は、地域の個性があるフランスワインが多くなっているが、各国の優れた産地のワインは必ず揃えられている。珍しいところでは、ジョージアやギリシャ、レバノン、モロッコ、イスラエルといった地域のワインもある。

そのほか、ロゼワインの扱いも多く、ジュラ地方のヴァン・ジョーヌ(黄色ワイン)など地域独自のワインや酒精強化ワイン、ヴァン・ド・リキュールも取り揃えられている。セラーの中には、ヴィンテージワインや甘口ワインも充実している。

現在、ボルドーやブルゴーニュのメジャーなワインは、値上がりが激しく購入しにくくなっている。しかし、ブルゴーニュであれば、それに代わるものとして、コート・シャロネーズやコート・ドールでも穴になっている区画を探す選択肢もある。そういったものをセレクトしているのもこちらの店。上手に活用して、賢くワインを購入しよう。

店内のレイアウトと楽しみ方をチェック


店内を見渡すと、ずらりと並ぶワインに圧倒されるが、実は右手は白ワイン、左手が赤ワイン、右奥がロゼやシェリーなど、左奥がワインセラーと、わかりやすく分かれている。お目当てのコーナーに行ってみよう。

R0015252▲ブルゴーニュコーナー。地図が貼ってあるので、わかりやすくなっている

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▲温度管理と光の管理が行き届いたワインセラー。重要な当たり年のワインや注目すべき高級ワインが
きちんと管理された空間で静かに眠っている 

おすすめはフランスの隠れた名産地のワイン

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▲左)「レトワール サヴァニャン2014」ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデル ¥3,880
右)「ブルゴーニュ エピヌイユ(赤)  キュヴェ・ジュリエット2014」 ドメーヌ・グリュイエ ¥2,980

おすすめとして紹介してもらったのは、いずれもフランスの隠れた名産地のワイン。まずは、左側の白ワインから。
「フランスのジュラ地方でも貴重なレトワール地区のワイン。この地区独自の産膜酵母の下でワインを造っていて、クルミやアーモンドなどヴァン・ジョーヌと似たような風味が楽しめます。聞いたことはあるけど味わったことがない、という人にぜひ飲んでほしいですね」。ジュラ独特の文化を楽しんでみよう。

赤ワインも掘り出す価値のあるワインを紹介してくれた。
「ブルゴーニュの中でもシャブリよりも北にあるエピヌイユという村のワインです。真南を向いた山の斜面にあって、立地条件がすごくいい。コート・ド・ニュイの引き締まった赤ワインを彷彿させます。それでいて、値段が手頃なのがポイントです」。ブルゴーニュ好きは、一度飲んでみてはいかが?

好みのワインが月6本届く頒布会を実施中


カーヴ・ド・プティットメゾンでは、好みのワインを内池さんがセレクトし、月に6本届く「カスタムメイド頒布会」を実施している。あらかじめ好みを聞いたうえで、月初にワインのタイプごとの本数を伝えておくと、店から品名が送られ、変更してほしい場合は変えてもらえる。ワインのスペシャリストに選んでもらえるとあって好評な企画となっている。また、週末にはおすすめワインの試飲も開催されている。ぜひ、足を運んで好みのワインを見つけてみよう。

カーヴ・ド・プティットメゾン
東京都世田谷区上馬3-6-14
11:00~20:30(月13:00〜)
水定休
03-3421-3800
HP:https://www.cyber-wineshop.com

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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