八幡屋蔵部(尾山台)

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庭でくつろげる商店街のワインショップ

八幡屋蔵部(やはたやくらぶ)は、ハッピーロード尾山台という商店街のなかにある。この商店街は、石畳と街路樹の通りでも知られ、洋菓子やシャルキュトリーの「オーヴォンヴュビュータン」や「丸山珈琲」など名店も並ぶ。瀟洒な店構えの八幡屋蔵部も、商店街にすっかりとけ込んでいて、住民に愛されるワインショップだ。実は、2017年6月にオーナーが変わったが、コンセプトはそのまま。変わらず、気取らないワインショップとして食卓にのぼる1本を提案してくれる。

入口の日よけに、「Garden」 とあるように、店舗の奥にはガーデンスペースがある。ここでグラスワインやビールを飲んだり、購入したボトルで乾杯したりというのもこの店のもう1つの上手な楽しみ方。世田谷散策に立ち寄ってワインを飲むというのもおすすめの利用方法だ。

街に愛される店を受け継ぎたい

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2017年からお店の名前もそのままにお店を引き継いだのは、武田智之さん。そもそも八幡屋蔵部は、1913年に世田谷区八幡山で創業、尾山台に支店をつくったのが3代目の前オーナー。しかし、そのオーナーに跡取りがいなかったため、第三者に継承されることに。白羽の矢を立てられたのが武田さんだった。以前の3代目オーナーとはインポーターの友人の紹介で出会ったという。

「前のオーナーさんが人柄で商売されていたところもあって、地域の人とコミュニケーションがうまくとれる人というのが継承の条件でした。僕は以前、雑貨や洋服のインポートやデザインをする会社で働いていて、店舗にも立っていました。そのため、お客様の要望を引き出して、ベストなワインを見つけられると判断していただけたようです。マッチングがうまくいきました」と、武田さん。

継承が決まってから1年半の間、店にある入手困難なワイン以外は全て飲んだというから、その集中力は凄まじい。短期間でワインの研鑽を積み、料理とのマリアージュも試し、売場に立った。

「有名ワインショップで働いた経験はありませんが、その分、お客様寄りの目線に立てるのが強みだと思います。お客様はワインを体系立てて勉強したことのない人がほとんど。わからないことを聞きやすい雰囲気をつくって、なるべく敷居を下げたいと思っています。そうやって地域の人のワインを知ってもらい、人生を豊かにするお手伝いをしたいですね」。

「普段づかいが8割」の品揃え

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八幡屋蔵部には、約400種類のワインがあるが、その8割が2500円までの普段づかいだという。ワインセラーの前に900〜1500円のワインが並び、入口右の棚には1500円〜3000円のワインが並ぶ。フランス、スペイン、イタリア、そしてオーストラリアやカリフォルニアの新世界のワインも揃う。最近、力を入れているのが、スロベニアなど東欧のワイン。

「東欧のワインはなじみがない方が多いので、面白がって買っていただけます。白だけでなく赤も置くようにしています」。話題性の高いワインも品揃えのポイントだ。

さらにワイン選びのポイントを聞くと、「お客様の顔が浮かぶかどうか」と武田さん。
「試飲会に行ったときにお客様の好みを思い出して、『あの方におすすめしたい』という視点で選べるのが地域密着のお店の良さ。接客するときにも、対話してベストなものが紹介できるように心がけています」。さまざまなお客様に合わせて、ワインが選び抜かれている。

店内のレイアウトと楽しみ方をチェック

八幡屋蔵部

お店は間口が広く取られていて、軒先にもおすすめワインが並べられているため、オープンで入りやすい雰囲気となっている。店内は右の棚をメインにワインが国別に並び、ワインセラーの前にデイリーワイン、ワインセラーのなかに3000円以上のワインが揃っている。

R0015322▲この時期は入口に日本酒の樽酒があった。その場で瓶詰めして持ち帰ることができる

R0015324▲ワインセラーの前のデイリーワインも目白押し!

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▲ワインセラーのなかも地域別に並べられ、わかりやすくなっている

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▲店の奥にあるガーデンスペース。デッキの上にはテーブルもあってゆったり座ってくつろげる。
グラスワイン500円、ビール500円のほか、購入したボトルも抜栓料500円で飲める。
商店街で購入したパンやシャルキュトリーを持ち込んでもOK! 
 

おすすめはスタイリッシュなカリフォルニアワイン

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▲「SUBMISSHON(サブミッション) カベルネ・ソーヴィニヨン」 689セラーズ ¥2,300

紹介してもらったのは、カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワイン。
「こちらは、一口飲んで誰が飲んでも『うまい』と思えるわかりやすく素直なおいしさのワイン。完熟したブラックベリーやカシスに樽の香りが混じる香りがあります。いきいきとしたジューシーな果実味となめらかな口当たりが楽しめますよ。黒で白抜きのラベルというのも珍しく、高級感がありますよね。プレゼントにも普段飲みにもおすすめです」

月2回、テーマを決めたワイン講座を実施

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イベントは月2回、テーマを決めて5〜6種類のワインを試飲しながらのワイン講座が開かれている。例えば、12月ならシャンパンをテーマに季節に合わせたものが開催されている。1回2000〜3000円程度の参加しやすい料金もうれしい。
また、週末はおすすめワインが無料で試飲できるようになっている。尾山台散策の折には、商店街巡りとガーデンテラスをのんびりと楽しんでみてはいかが?

八幡屋蔵部
東京都世田谷区尾山台3-21-5
11:00~20:30 (土日祝10:00〜)
水曜定休
03-6432-2625

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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