和酒の1つである日本ワインを中心にセレクト
「青山三河屋 川島商店」の創業は明治34年(1901年)。青山で最も歴史のある酒屋として、近隣エリアに日本酒や焼酎を販売してきた。ワインは、1970年代から輸入品を扱ってきたが、2010年頃から日本ワインにシフト。現在は、日本生まれの「和酒」を扱う店として、日本酒や焼酎とともに日本ワインをラインナップしている。
この店で日本ワインが棚に並べられるためには明確な基準がある。それが「一定レベルの品質と価格が見合っていること」。 実際に価格帯は、1500〜2000円をボリュームゾーンとして、4000円までが売れ筋。日本ワインを日本酒と同じような感覚で買って帰れる酒屋なのだ。また、青山という土地柄、フランスのグランヴァンやシャンパーニュも揃えられているし、1万円以上の日本ワインやセレクトされた輸入ワインもある。
酒の本質を見失わない老舗としての矜持
▲日本ワインがぎっしりと並んだ棚の前でほほえむ、4代目川島太さん
4代目として店を継いだのは、川島太さん。本人いわく”順風満帆に”会社勤めをしてきたというが、10年前に歴史ある酒屋を継ぐことを決意。その理由を聞くと、「家業って続けた方がいいかなと思って」と軽やかにかわされた。しかし、決断の裏にある思いが、質問を重ねていくうちに見えてきた。
例えば、日本ワインを選ぶときの「一定レベルの品質」について聞くと、「私の中で品質と価格の基準となる2000円以下の銘柄があって、それと比べてどうかが1つの線引きになっています。それと同等の品質で同じような価格帯であれば扱いますが、個々のワイナリーの状況を顧慮しても、2倍以上の価格になるものは扱いません」ときっぱり。
「若手醸造家だからとか生産量が少ないからという理由で高価格になっているワインを扱うのは違う。情熱やファンタジーとからめて商品を過剰評価するのは、酒販店の本質ではありません。そこは老舗の酒屋として責任があると思っています」と教えてくれた。
▲スパークリングワインのコーナーにはシャンパーニュだけでなく日本の泡も並ぶ
だからと言って、大手ワイナリーだけでなく、中規模や小規模のプレミアムワイナリーも扱っている。評判のいいワイナリーへは、直接電話を掛けて訪ねることもあるという。「だいたい年間で10回くらいは訪ねていますね。お互い日本にいるから社長や醸造責任者と直接お話しができる関係でありたいと思っています。ワイナリーや酒蔵を訪問する際は、1回の出張で1軒しか行かないのが基本。正直、訪問したワイナリーの近くに別のワイナリーがあると行きたくなりますが、やはりそこは誠意。お金で買えないのが関係性だから、1軒と決めています」。そこで繋がったワイナリーとの関係性はそれだけ強くなり、ときには言いにくいことも言える間柄になるのだとか。そこにも、ワイナリーと酒屋の家と家との付き合いを重視する姿勢が表れていた。
味のある手書きPOPを参考に、相談も気軽に!
青山三河屋川島商店の品揃えは、最も種類の多い日本ワインで約200種類。棚の入れ替えもあるため、年間で400種類くらいを扱っている。それ以外に、輸入ワインも300種類ほど揃っている。店の入口に近い棚には、展示会や試飲会で見つけて面白いと思った各国のワインをセレクト。珍しいところでは、チャコリやアルバニーリョがあった。
また、食事に幅広くあうワインとして、ロゼも多くラインナップ。店の奥側のセラーと棚には、スパークリングや高級ワインも揃えられていた。青山では贈り物やパーティーの需要も多いため、ボルドーやブルゴーニュのグランヴァン、シャンパーニュがあるのだ。
店内でワインを選ぶときは、お店オリジナルの値札があるので、それを見るとわかりやすい。ボトルネックに掛けられた、POPはアルバイトの農大生作。色々な作風があるので、見るのも面白い。
ワインの相談をしたいときは、あらかじめ価格帯やシーン、合わせたい食事のジャンルを伝えるとスムーズ。川島さんは、料理に合わせた提案も得意。日本ワインで迷ったときは、生産者の情報も詳しく教えてくれる。ギフトやパーティー仕様の高級ワインも揃っているので、そちらも価格帯や送り先などの情報を伝えるのがおすすめだ。
店内のレイアウトをチェック
お店全体としては、和酒をフィーチャーしているため、ワインの他に日本酒や焼酎・ジンも揃っている。ワインが目当てなら、入って左手に進んでみよう。右手に輸入ワイン、左奥に日本ワインがある。さらに奥にスパークリングがあり、セラーの中には高級ワインが眠っている。また右奥の冷蔵ケースにも冷やしたワインが入っているので、すぐに冷えたものを選びたいときは、こちらをチェックしよう。
おすすめは、貴重な高尾ブドウを使った東京産のロゼ
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