VIRTUS ウィルトス(外苑前)

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イベントを入口にワインの世界へ

R0014789初めてウィルトスを訪れた人は驚くだろう。ワインセラーの棚に産地やタイプを案内する表示もなければ、ワイン1本1本に値札すらない。ワインセラーには約1200本ものワインがあるのにである。しかも、フランスやイタリア、新世界もあれば、ヴィンテージタイプやナチュールなどタイプもさまざま。

R0014779これは、ワインを選ぶときには店のスタッフに聞いてほしいということ。そのためスタッフは、ワインの背景にある生産者や畑の情報、どんな味がしてどう変化するかもすべて把握している。

さらには、週末を中心に毎週2〜3回、試飲会やワイン会、セミナーなどのイベントが店内で開催されている。好きなテーマのイベントに訪れ、情報と味を確認して気に入ったワインを買ったり、ほかのワインを選んでもらったりしてもいい。

ウィルトスを利用するなら、イベントを入口に、お店の人とコミュニケーションを取りながらワインを選ぶのがおすすめ。もちろん、まずは一人でじっくりと見て回るのも面白いだろう。

ワインにある価値をすべて知ってから買ってほしい

R0014812店主を務めるのは、中尾有さん。大学卒業と同時にワイン業界に入り、フランス専門のワインショップなどで販売業務だけでなく輸入業務なども経験し、2015年にウィルトスを開店。店には、フランスやイタリアはもちろん新世界やジョージアなどさまざまなエリアのワインがあり、ナチュールも伝統的な造りのワインもある。幅広いラインナップがあると、お客の方でワインを選ぶのも大変になるが、そこで登場するのが、中尾さんやほかのスタッフ。

「技術が進んだ今、まずいワインなんてありません。ワインはおいしさはもちろんですが、バックボーンやおいしさがどう変化していくかという価値があって存在しています。単に物を売っているのは違う商売だとも思っています。だから、ワインを飲んだ蓄積がある人から買ったほうがいい。誰よりもたくさん情報を収集して、試飲するのは、僕の責任だと思っています」と、教えてくれた。

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実は毎週、店内で開催されている試飲会やワイン会などのイベントはそのためでもある。
「もちろんインポーターの試飲会にも足を運びますが、毎月1000本のワインを飲もうと思ったら、それだけでは足りません。だったらお客様と一緒にその機会を共有して、経験を積めばいい。例えば、試飲会なら抜栓した後だけでなく3日後の経過もわかるし、ワイン会なら料理とのマリアージュもわかる。そこで、お客様にコメントを伝えながら、試飲情報を蓄積。それが、結果としてお客様の信頼に繋がると思っています」 。よりよい店であるための努力が、店舗を営業する中で日々続けられているのだ。

価格以上の品質のワインと、独自性のあるワインを厳選

R0014770▲限られたスペースで、できるだけたくさんのワインに出会えるよう、1銘柄ずつ置かれている

セラーに入ると、ところ狭しと並べられたワインに驚く。数にして、約1200種類が置かれている。選ぶ基準を中尾さんに聞いたところ、その答えは「コストパフォーマンスとオリジナリティ」。
「大きな基準は、品質以上の価格が見込めているかということ。タイプや種類は、好みもあるし、使うシーンによって異なってくるので、コストパフォーマンスが物差しになっています。また、日本ワインやジョージアなど独自の個性を持つものは置くようにしていますね」。

また、さまざまなタイプのワインを扱うことも大切にしている。
「造りでいえば、ナチュールもあればオールドファッションもある。金額にしても1000円台から数十万円するものまで置いてあります。フランスはワインの基準となるので、多くなりますが、基本的にはバリエーション豊か。たくさんの種類があったほうがワインショップって楽しい。ここに来たら宝探しのつもりで、色々好きにあさってみてください。でも、多分よくわからないと思うので、そのときは聞いてください(笑)」
店内には、インポーターから取り寄せたものだけでなく、直輸入された銘柄もあるので、どんなものがあるか、聞いてみてほしい。

店内のレイアウトをチェック

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店内は、常温のテイスティングテーブルやギャラリーと、定温に冷やされたワインセラーに分かれていて、ワインはすべてセラーに入っている。セラーの入口には、手頃な1000円台のワインがあって、奥側にフランスワイン、真ん中にスパークリングワイン、手前の棚に各国のワインが置かれている。

R0014767▲セラーの中央にあるスパークリングワインコーナー

R001477 7▲隠れた場所にさりげなく高級シャンパーニュが眠っていたりする

R0014762▲店内のギャラリースペースには、骨董屋さんの協力の下、企画を変えてアンティーク食器が置かれている。このとき置かれていたのは、1940年代アメリカで見つけられたヨーロッパの食器

おすすめは仏ボージョレから直輸入した華やかワイン

R0014806Avalanche de Printemps(アバランチ・ド・プランタン)¥4,800 Marc Delienneマルク・ドリエンヌ)

おすすめの1本として選んでもらったのは、直輸入されたフランス・ボージョレ地方のガメイ種による赤ワイン。 マルク・ドリエンヌというフルーリー(村)の造り手による「アバランチ・ド・プランタン」。

「ボージョレーというと、ヌーボーが有名ですが、最近は通常の赤ワインのクオリティが高く人気になっています。こちらは当社で輸入していますが、生産量も多くない造り手。士業を退職して、ワインを作り始めて2ヴィンテージ目なのですが、とてもいいですね。アバランチ・ド・プランタンというのは、春の洪水というような意味。春先のボージョレーのように花が咲き誇ったような華やかな香りと、熟度の高いジューシーな果実味が魅力です。ガメイ種100%で造られていますが、シラー種に近いような濃密さがあります」と、ほれこんだ理由を教えてくれた。ラベルも印象派の絵のように美しい1本なので、ぜひ手にとってもらいたい。

毎週開催のイベント情報はSNSで発信中

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毎週、趣向を凝らして開催されているイベントは、FacebookやインスタのSNSで情報発信されている。イベントは、生産者を呼んでの試飲会、産地やタイプ別の試飲会、食事と一緒に味わうワイン会、セミナーなどさまざま。映像でもイベントの様子が見られるので、チェックしてみてほしい。

VIRTUS(ウィルトス)
東京都渋谷区神宮前2-11-19
12:30〜20:00  日休
03-4405-8537
HP: http://www.virtus-wine.com
FB:https://www.facebook.com/virtuswine/?locale=ja_JP
Instagram:@virtuswine

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして、ワインの勉強中のものです。

    自然派ワインを説明を受けながら飲んでみたいのですが、イベントですとどの日程がよろしいでしょうか。

    教えていただけると嬉しいです

    • コメントありがとうございます。ウィルトスさんのイベントは、Facebookのイベント欄に詳細が書いてあるので、飲んでみたい自然派ワインのタイプによって、行きたいものを選ぶのがよいと思います。例えば、1月ですと、アルザス、ダイヤモンズ、ナチュール試飲会が上がっています。アルザスは自然派とクラシックの両方が飲めるので違いがわかると思います。ワインダイヤモンズはオーストラリアやスペイン等の自然派ワインの輸入会社さんで、輸入されてる尾崎さんにも話が聞けるメリットがあります。ナチュール試飲会は飲んでおきたい自然派ワインが多分種類豊富に飲めるのかなと思います。詳しくは、お店の方にお電話やメッセンジャーなどで相談されてみてください。
      このところコロナの影響もあって、ワインショップでのセミナーや試飲イベントが少なくなっています。有料試飲を常時やっているワインショップへ行ってみるのもいいかもしれません。

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