先日、ドイツワイン専門店・カシエルの森さんから、おすすめワインを飲ませてもらった。自然派だと紹介されたので、ゆるさを想像していたが、そこはドイツ。厚みのある酸に支えられ、しっかりと骨格があった。さらに充満するような果実味が隠れ、「なんてポテンシャルを秘めた魅力的なワインなんだろう」と思った。すかさず森さんから、「ドイツワインのイメージが変わりませんか? 実は、現地ではおもしろいタイプが出てきているんですよ」と教えられた。今回は、森さんにドイツワインの新潮流について聞いた。

ドイツは、どんなワイン産出国?

ドイツワインの新潮流を知る前に、ドイツワインについて、まとめたい。ドイツワインというと、日本では中甘口や甘口ワインのイメージが強い。これは、ドイツがぶどう栽培地の北限であることから、成熟度を果実の糖度で示す独自の等級制度があるため。特に日本に輸入されるのは高級ワインが多いことから、必然的にこの等級を用いたものを見かけることが多くなる。

タイプでいえば、寒冷地であることから白ワインが中心。なかでも生産量1位のリースリングは、高貴でアロマティックな品種として国内外で評価が高い。生産量2位は交配品種のミュラー・トゥルガウ。ドイツは厳しい栽培環境を品種改良でカバーするため、他にもケルナーなど交配品種が多い。第3位は赤ワイン用ブドウのシュペートブルグンダー、いわゆるピノ・ノワール。南部のバーデンを中心に栽培されている。

ワインの見た目でいえば、ボトルが細長いフルート型がドイツの定番。これを見ると「ドイツワイン」とわかりやすい。フランケン地方にはボックスボイテルというずんぐりと丸いボトルもある。ラベルは、素朴な畑の絵、もしくは家紋が小さく入ったシンプルなものが多い。

まとめると日本人の思う従来のドイツワインは、甘口ワインが多い、リースリングはあるけど交配品種が多い、見た目が地味・・・というのが、おおよそのイメージかと思う。しかし、これはどうやらひと昔前のイメージなのだそう。

トレンド1:辛口ワインが主流

現在、世界のワイン市場は、食事に合わせやすい辛口ワインが主流となっている。さまざまなスイーツがあるいま、甘口ワインで甘みをとる時代ではない。ドイツも近年は市場のニーズに合わせて、辛口ワインが主流に。ドイツワインといえば、豊かな酸やミネラルが魅力。とはいえ、酸っぱさよりもまろやかさを感じる酸なので、食事にぴったり。アロマティックさや低アルコールも今の消費者には受け入れやすい魅力がある。これからはドイツの辛口ワインもぜひ味わってみてほしい。

トレンド2:地球温暖化でピノ系品種の栽培量が増加

地球温暖化によって、これまでドイツでは栽培が難しかった品種が栽培できるようになった。その代表品種がグラウブルグンダー(ピノ・グリ)やヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)などのピノ系品種。これらの品種は、国際品種で、ポテンシャルもある人気品種。特にグラウブルグンダーとヴァイスブルグンダーは、生産量が2桁増の伸びを示している。輸出を考えればこの傾向は続くとみられる。

また、かつてドイツではリースリングは尊びながらも、交配品種を盛んに生んだ時期があった。それらは病虫害に強い利点もあるが、味わいにしみじみとした余韻がないのも事実。今後は、交配品種は廃れ、リースリングやピノ系品種をこれまでどおり単一品種でで表現していく傾向が増えていくだろう。

トレンド3:若手のチャレンジングなワイン造り

伝統ワイナリーで世代交代が進み、小規模なワイナリーでも若く意欲的な造り手が増えている。彼らは自らの土地に敬意を示しつつも、チャレンジングなワイン造りに精を出している。例えば、ビオ栽培を実践して酸のしっかりした自然派ワインを造ったり、ピノ・ムニエ単体でブラン・ド・ノワールを造ったりと、ワインファンにとって興味深いワイン造りを実践。なかには、急斜面の畑で棒仕立てではなく垣根仕立てに挑戦するなど変わった試みも。ドイツというと堅固な気質のイメージもあるが、チャレンジ精神は旺盛。ただ、ラベルはシックなものを好む傾向にあり、相変わらず派手さはないが、モダンなイメージのものは増えている。

ぜひ、これらの変化を楽しみに、ワインショップを訪ねてほしい。

話を聞いたワインショップ
CASSIELカシエル
東京都世田谷区経堂1-18-6
03-6413-7990
17:00〜23:00(土日祝14:00〜)
火曜休
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