先日、東京エディション虎ノ門にある「The Jade Room + Garden Terrace」でディナーのワインペアリングを体験してきました。
話題のレストランで、どんな料理にどんなワインがペアリングされていたのか、レポートします!
The Jade Room + Garden Terraceとは?
2020年10月に開業した「東京エディション虎ノ門」といえば、客室からすぐそばで東京タワーの全景が絵画のように美しく見える景色が評判です。地上140mの超高層階からその素晴らしい景色を食事しながら楽しめるのが「The Jade Room + Garden Terrace(ジェイド ルーム + ガーデンテラス)」です。東京エディション虎ノ門の開業から2年の準備期間を経て、満を持して2022年10月にシグネチャーレストランとして開店しました。
こちらのレストランをプロデュースするのは、26才の若さでミシュラン2つ星を獲得したイギリス人スターシェフのトム・エイキンズ。ヨーロッパでは知名度の高い彼ですが、日本でレストランをプロデュースするのは初めて。どんな世界を披露してくれるのか楽しみです。
コース料理は、ランチの4皿コース(11,000円)・6皿コース(15,000円)、ディナーの5皿コース(18,000円)・7皿コース(22,000円)があり、和と洋が一体になったコラボレーション料理が提供されます。*いずれも税・サービス料込
コースにはワインのペアリングをつけることもできます。ペアリングを担当するのは、ヘッドソムリエの矢田部匡且さん。ホテルやカリフォルニア専門のバー、星つきレストランでキャリアを積みながら、日本のワイン生産者を訪ねる活動もされているとか。この日のペアリングでも、日本をはじめとしてさまざまな生産地のワインにフォーカスしたディスカバリーなワインプログラムでペアリングしてくれます。
屋外は夏季限定の営業で、今年は3月25日からオープンしています。圧巻のシティビューが自慢で、少しカジュアルなメニューが楽しめます。夏にはテラスでランチも気持ちよさそうですね。
グリーンをアクセントに洗練されたインテリア
この日は、まだ肌寒い3月だったため、屋内で食事を楽しみました。31階のロビーバーをとおっていきます。ロビーバーは「空中のジャングル」をイメージした空間。その先もまたグリーンを配した洗練された空間でした。屋内ですが、大きなガラス張りなので席からも東京タワーが眺められます。
私たちが通されたのがこちらのグリーンのソファ席。ゆったり横並びで、東京タワーを楽しみながら食事がいただけます。
フランチャコルタで乾杯
この日のコースは、コースが進むに連れて、イギリスから日本へ旅するように料理がグラデーションのように変わっていくというもの。一皿目はイギリスが色濃く表現された料理ですが、5皿目、6皿目と日本の色がメインになってくるように仕立てられていくそうです。
まず、乾杯に用意されたのは、イタリアのフランチャコルタの名門カ・デル・ボスコのスパークリングワイン。透明のボトルが華やかなイメージがあります!
初めに出されたスナック。こちらもグリーンがイメージされていました。かわいいですね!
根セロリのカルパッチョ✕サンセール
一皿目は「炭火で炙った根セロリのカルパッチョ、トリュフ」。イギリスでは根セロリがよく食べられるそうで、それをメインにした料理。薄くスライスされたカルパッチョ状の根セロリをめくると、アイスクリームのムースが隠れていました。ピクルスも入っています。白いソースはセロリアックピューレをセロリピクルスジュースで延ばしたもの。マヨネーズのようなクリーミーな味でした。
これにペアリングされたのがロワールのサンセールです。
「今回のペアリングは旧世界から新世界、さらに新しい産地まで幅広くご用意しました。こちらは“サンセールの王様”と言われるクラシックな生産者なので、ザ・サンセールというワインです。レモンやライム、柑橘系の香りがあり、青りんごっぽさやハーブのニュアンスがあります。食事の最初に爽やかな白ワインをお楽しみください」と矢田部ソムリエ。
根セロリは特にクセのない大根のような味で、クリーミーなソースが味わいの主体でした。爽やかで主張が強すぎないロワールのソーヴィニヨン・ブランが心地よかったです。
2皿目 帆立と出汁✕北海道のロゼワイン
2皿目は「帆立、キャビア、かぶ、出汁」。こちらは北海道産の帆立とキャビアをメインに発酵が裏テーマになった一皿。ソースには、イカの出汁とわさびのオイル、レモンオイルが入っています。上にのっているのは、昆布の冷製と発酵キャビアです。
ペアリングワインは、余市の木村農園のピノ・ノワールを使ったココ・ファームのロゼワイン。
「北海道の余市というとウィスキーで有名ですが、ワインの生産も盛んです。こちらのワインは、木村農園のピノ・ノワールを使っています。りんごを引っこ抜いてブドウを植えたので、りんごの味がするおもしろいロゼです」と矢田部ソムリエ。
発酵がテーマになっていた2つですが、出汁のうまみのニュアンスは強くなく、ロゼワインも果実感が強くない味わい。未完成な感覚で新しい発酵がイメージされていたのかもしれません。
オニオンカスタード✕アンバーワイン
3皿目は「オニオンカスタード、ブレッド味噌、大麦、北海道産チーズ」。キャラメリゼした玉ねぎの上にオニオンピューレが添えられています。白いフォーム状のものは北海道のシントコチーズだそうです。
「玉ねぎにチーズを合わせたカスタードプリンのような味の一皿には、ジョージアのアンバーワインを合わせました。アンフォラでブドウを発酵して造られたワインで、苦味やタンニンがあるので、それが料理のアクセントになります」と矢田部ソムリエ。
玉ねぎのうまみが引き出された濃厚な野菜料理で、クリアながら旨みのしっかりしたアンバーワインがとてもよく合っていました。
金目鯛✕ピュリニー・モンラッシェ
4皿目は「金目鯛、仔牛すね肉、人参、紹興酒」。お花の下は人参のローストでお肉も入っています。ペアリングはブルゴーニュのピュリニー・モンラッシェ。
「2016年のシャルドネで熟成感がしっかり出ています。金目鯛にとてもよく合うと思います」と矢田部ソムリエ。
紹興酒も入った少しコクのあるソースと熟成感のあるピュリニー・モンラッシェは充実感のあるマリアージュでした。
和牛✕NZのガメイ
5皿目は「和牛、舞茸、かぶ、ほうれん草」です。ここまでくるとかなり日本の色が濃い料理になってきました。宮崎県産の和牛のフィレ肉をミディアム・レアで焼き、行者ニンニクの入ったソースが添えられています。和牛の隣にあるのはスピナッチロールで、中にチキンのムースと舞茸のくだいたものが蒸され、ほうれん草のパウダーで仕上げられていました。付け合せの野菜はカブです。
ペアリングワインは、ニュージーランドのガメイ。
「ニュージーランド南部のセントラル・オタゴのガメイです。セントラル・オタゴはピノ・ノワールの産地として有名ですが、こちらのガメイはピノ・ノワールよりもスパイシーで野性的なニュアンスがあるので、ジューシーなお肉ととても良く合います」
和牛は脂身のくどさを全く感じさせない味わいで、スパイシーなガメイがほどよいアクセントになっていました。
デザート2種✕北海道の甘口ワイン
口直しの桜のソルベのあとには、苺のデザートが登場。最後の一皿は「苺、ホワイトチョコレート、バジル」です。苺のとなりにある小さなものがホワイトチョコレート。最後にストロベリーソースをかけて仕上げられています。なかにバジルオイルが仕込んであるので、ピンクの色合いにグリーンが混じる色合いがきれいです。
ペアリングは北海道・仁木の甘口ワイン。
「ケルナーを遅摘みにした甘口ワインです。蜜っぽい甘みとりんごの爽やかさがあって、飲みやすい甘口ワインです」と矢田部ソムリエ。
最後のデザートを甘口ワインで締めるにはぴったりのすがすがしい甘みのある甘口ワインでした。
今のワインの世界を知れる、発見のあるマリアージュ
6皿のコースと7種類のワインのペアリングを楽しみました。ワインはフランスと日本ワインが各2種類、イタリア、ニュージーランド、ジョージアが各1種類と新世界、旧世界、ワイン発祥の地、新産地である日本と世界をぐるりと巡るようなペアリングでした。新産地では中国やレバノンなども出されることがあるようです。
ペアリングコースは4皿・5皿が13,000円、6皿・7皿が17,000円です。ゲストと会話をしながらペアリングの内容は都度アレンジされているそうで、隣はまた別のワインが出されていました。
クラシックなワインとナチュラルワイン、新旧世界と新産地のワインというのは、なかなか一度に出てこないので、新鮮でした。料理もイギリスと日本をオマージュしているコラボレーション料理。東京タワーときらびやかな夜景がすぐそばにある高揚感もあって、旅行に来たような雰囲気が味わえた夜でした。
ワインを飲み始めたばかりの人にとっても、ワインに親しんでいる愛好家にとっても、発見のあるペアリングが楽しめると思います。いつもと違う夜を楽しみたいときには、ぜひ出かけてみてください。
The Jade Room + Garden Terrace
東京都港区虎ノ門4-1-1
東京エディション虎ノ門31F
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