『ワイナート』イベントで南アフリカのトレンドを知る

ワイン雑誌『Winart(ワイナート)』が主催する試飲イベントに参加しました。こちらのイベントは、南アフリカ10生産者のワイン20アイテムが軽食付きで楽しめるもの。すべて飲めば、南アフリカワインのトレンドがわかるとか!
南アフリカは、ワイナート2019年春号で特集されているように、注目の産地。ひと昔の濃くて重いイメージではなく、高品質化・プレミアム化が進んでいます。東京ワインショップ会議でも、Anyway-Grapesの高橋さんがプッシュされていましたし、個人的にもおいしいと思っていた矢先。たくさん試飲できて、軽食付き4800円とお得だったので参加してきました。


会場は、代官山テノハ「&STYLE RESTAURANT」。代官山テノハは、中庭を囲んでカフェや雑貨屋が並ぶ複合施設とあって、日曜日のイベント当日はたくさんの人でにぎわっていました。

エントランスで、試飲リストとグラスを受け取って、いざ会場へ!

会に先立って、ワイナート小松編集長とラフィネ文屋貴雄さんからご挨拶。ラフィネは、今回の南アフリカワインを提供したインポーター。元々はフランス専門のインポーターでしたが、南アフリカワインの輸入を5年前からスタートし、力を入れているそうです。

スタートの挨拶とともに、ラフィネのスタッフが待つカウンターに並んでワインを注いでもらいます。みなさんリストを見ながら熱心に試飲されていました。

試飲会は立食ながら、軽食もついてきました。ワインに合うおつまみを少しずついただけます。

ワインのラインナップはこちら(すべてのボトルは記事の最後で紹介します)。

ラフィネのみなさんに南アフリカワインについて色々と質問してみました。ラフィネでは、5年前に南アフリカを訪ね、その品質の高さから輸入を決めたそう。その当時からヨーロッパのインポーターも進出していたようですが、南アフリカワインの転換期でもあり、タイミングはよかったとか。というのが、南アフリカワインの担い手が、濃厚なワインを造る50〜60代(いわゆるアパルトヘイト後の第一世代)から、30〜40代の第二世代に移行したタイミングだったため。

第二世代は、ヨーロッパで修行して帰国した人や、大手のワイナリーで修行しその中でジョイントベンチャーとして独立の道筋をたどってきた人たち。ヨーロッパを意識した洗練されたワインを志向し、今の南アフリカワインの主役といえる存在。ちょうど彼ら第二世代のワインを扱えたのが大きかったとおっしゃってました。さらに、こうしためまぐるしい南アの動向を現地で探るべく、ラフィネでは今駐在スタッフを置いているとか。当日は、一時帰国していた駐在スタッフの方もいらっしゃいました。

環境については、さまざまな地形のあるミクロクリマで多様性のあるワインが生み出せるそう。古木も残っていて、それを意欲的に活かす造り手も。また、自然に対する規制が厳しいことから、自然なつくりが当たり前になっていて、そのなかでプレミアムなワインを造ろうとしています。さまざまな面で環境が整ってきて、まさにいまがおもしろいところだということ。確かに、1本だけ樽が過剰かなと思うのがありましたが、それ以外は自然な味を活かした造り。色々な品種のワインがあって、個性もありました。

まわりの方々に感想を聞いたところ、人気が高かったのは、赤ワインの2つ。
1つめは、左側の赤ワイン。サヴェージ・ワインズという生産者の「サヴェージ・レッド2015」(参考上代5184円)。本誌の情報によると、生産者は78年生まれの若手。ケープ・ポイント・ヴィンヤーズのワインメーカーとしてソーヴィニヨン・ブランで名声をもたらした張本人で、その後自身のブランドを立ち上げ、赤ワインにも挑戦。いただいた赤ワインは、シラーをメインにグルナッシュ、サンソー、トゥーリガ・ナショナルがブレンド。エレガントでバランスのとれたワインでした。

もう1つの人気だったワインが、クリスタルムという生産者の「キュヴェ・シネマ・ピノ・ノワール2017」(参考上代6480円)。こちらは、もう1本の「マバレル・ピノ・ノワール2017」と一緒に試飲できたのが興味深かったですね。というのが、「キュヴェ・シネマ」が標高300Mに植えられた海のピノ・ノワールであるのに対し、「マバレル」が標高700Mの山のピノ・ノワール。マバレルの方が果実味が豊かで暖かみのある印象。本誌ではマバレルがヴォルネイ、キュヴェ・シネマがシャンボール・ミュジニーに例えられていましたが、まさに。同じ生産者で、こういう違いを感じ取れたのはよかったです。

あと、個人的に気になったのがモメント・ワインズの「グルナッシュ・ノワール2017」。これも素直な果実味が好みで、その中にスパイスや甘みが蓄えられた感じが、ほっこりとしました。

ほかに評判がよかったのが、エー・エー・バーデンホーストの「ファミリー・レッド2013」。シラー、グルナッシュが主体のローヌブレンドです。人気がありすぎたのか、残っていなかったので飲めなかったのが残念でした。


デザートも出され、試飲会も終盤。さまざまなワインを飲んでいると、2時間があっという間にすぎました。


最後にテーブルをシェアさせてもらった皆さんと記念撮影。インターネーションズという駐在員や留学生のコミュニティで集まった方々でした。全体には、男性の参加者がやや多くて、すでに南アフリカワインファンという詳しい方もいらっしゃいました。

南アフリカワインについては、濃くて強いコスパワインというイメージが一変。ヨーロッパ始め世界から注目されているのがわかる自然で洗練され、個性もある味。南アフリカのいまのワインを知るいい機会になりました!

出されたワイン
1.「ヴィンヤード・セレクション・シュナン・ブラン2017」クライン・ザルぜ・ワインズ(2,700円)
2.「ヴィンヤード・セレクション・ピノ・タージュ2016」クライン・ザルぜ・ワインズ(2,700円)
3.「カメラデリー・シュナン・ブラン2016」ファン・ロッゲレンベルグ(5,184円)
4.「ブレイク・ア・レッグ・サンソー・ブラン・ド・ノワール2017」ファン・ロッゲレンベルグ(2,592円)
5.「サヴェージ・ホワイト2017」サヴェージ・ワインズ(5,184円)
6.「サヴェージ・レッド2015」サヴェージ・ワインズ(5,184円)
7.「シュナン・ブラン・ヴェルデホ2017」モメント・ワインズ(4,320円)
8.「グルナッシュ・ノワール2017」モメント・ワインズ(4,860円)
9.「ロッキング・ホース・ケープ・ホワイト2017」ソーン・ドーターズ(4,860円)
10.「ペーパー・カイト・オールド・ヴェインズ・セミヨン2017」ソーン・ドーターズ(5,724円)
11.「キュヴェ・シネマ・ピノ・ノワール」クリスタルム(6,480円)
12.「マバレル・ピノ・ノワール」クリスタルム(6,480円)
13.「カルトロジー2017」アルヘイト・ヴィンヤーズ(5,400円)
14.「カルトロジー2016」アルヘイト・ヴィンヤーズ(5,400円)
15.「ラール・ホワイト2017」ラール・ワインズ(5,184円)
16.「ラール・レッド2016」ラール・ワインズ(5,184円)
17.「ファミリー・ホワイト2016」エー・エー・バーデンホースト(5,184円)
18.「ファミリーレッド2013」エー・エー・バーデンホースト(5,184円)
19.「スカーフバーグ2017」ザ・サティ・ファミリー・ワインズ(7,992円)
20.「トレインスプール2017」ザ・サティ・ファミリー・ワインズ(7,992円)

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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