イタリアワイン親父に聞く!バローロの買い方Q&A

バローロは高価なうえに色々な生産者がいるため、何を買ったらいいか迷ってしまうもの。一体、どうやって選ぶのが正解なのでしょうか? 教えてもらったのは原宿のワインショップ「ラ・カンティーナ・ベッショ」の別所正浩さん。なんとお店では、常時80種類(!)ものバローロが販売されています。今回は、そんな頼れるバローロ親父・別所さんに、バローロの買い方について教えてもらいました。


第1回 王のワイン・バローロを知るための基礎知識
第2回 4種類を飲み比べ!対談「バローロってどんなワインですか?」
第4回 イタリアワイン親父おすすめ!バローロを代表する生産者5選

目次

Q.バローロは大体いくらぐらい?

バローロ

A.いくつかの価格帯がある

ひと口にバローロといっても、大体4つの価格帯に分かれています。バローロは通常の「バローロ」のほかに、熟成期間の長い「バローロ リゼルヴァ」、産地が有料畑に限定されるクリュを掲げた「バローロ クリュ」、良年だけに販売されたり特別な方法で醸造したりした「特別限定品」に分けられます。これらのなかでも、栽培農家から買ったブドウで造られたワインや協同組合のワインは、自園で採れたブドウで元詰めされるワインよりも安くなります。自園のブドウを育てるためには、収量を制限したり手が掛けられたりしていることが多く、ワイナリーの設備投資にもお金がかかるからです。バローロでは、自園でブドウを育てて元詰めする小規模な生産者が多くなっています。さらに、人気生産者や数量を限定している生産者のワインはさらに高くなります。

●バローロの価格の目安

バローロ 6,000〜9,000円
バローロ リゼルヴァ 9,000〜20,000円
バローロ クリュ(MGA)12,000〜25,000円
特別限定品 30,000円〜
*人気生産者や数量を限定している生産者のワインは、さらに高くなります。

Q.とりあえずバローロを飲んでみたいなら?

A.5000円くらいのバローロを飲んでみて!

バローロは3000円くらいから購入することができますが、ラ・カンティーナ・ベッショでは納得して推せるバローロを5000円くらいから用意されています。初めはこのあたりのコストパフォーマンスに優れた価格帯から購入してみましょう。おすすめはこちらの3本です。

ジャコモ・フェノッキオ
1864年からワインを造り始めたバローロのパイオニア。現当主は5代目のクラウディオ・フェノッキオ。伝統的な長期間のマセラシオンとスラヴォニアンオークの大樽熟成によって、ヴェルヴェットのような舌ざわりのワインが造られています。バローロ4,800円(税込)

カッシーナ・バラリン
1928年からラ・モッラで代々ワインを造っている家族経営のワイナリー。現オーナーのジャンニとジョルジオの兄弟が80年代の終わりから若い力で、努力と手間を惜しまないワイン造りをしたことで品質が向上。果実味豊かで甘みのあるバローロ造りが得意です。バローロ4,900円(税込)

ルイジ・エイナウディ
イタリアの戦後初の大統領のルイジ・エイナウディが1897年に設立した歴史あるワイナリー。畑には、樹齢40年を超えるブドウも残っており、凝縮感のあるワインに。伝統生産者ながらバリックを使い、優れたバランスのバローロを造ります。バローロ ルード 5,500円(税込)

Q.お手頃にバローロの雰囲気を感じたいなら?

フラッテリア・アレッサンドリア ランゲ・ネッビオーロ
フラッテリア・アレッサンドリアのランゲ・ネッビオーロ


A.「ランゲ ネッビオーロ」や「ネッビオーロ ダルバ」をチェック

バローロの生産者が造る「ランゲ ネッビオーロ」や「ネッビオーロ ダルバ」をチェックしてみましょう。ランゲネッビオーロやネッビオーロ ダルバはバローロではありませんが、バローロと同じ品種のネッビオーロで熟成期間を長く取らずに造られたもの。ランゲ ネッビオーロは広くクオーネ県のブドウで造られ、バローロ・バルバレスコ地区で造られたのものもあります。ネッビオーロ ダルバは、バローロ・バルバレスコ地区以外のアルバ周辺で造られたもの。いずれもバローロそのものではありませんが、ACブルゴーニュのように生産者の個性を知る手がかりになります。優良生産者のなかには素晴らしい質感を持つものもあるので、そうした中から好みの生産者を見つけてみるのも1つのほうほうです。ランゲ ネッビオーロやネッビオーロ ダルバは、2,500円くらいから購入できます。

Q.3000円と2万円のバローロの違いは?

バローロ質感

A.ワインの質感に差が出る

バローロの中には、いくつかの栽培農家のブドウを集めて、協同組合で生産されたワインがあります。そうしたワインであれば3,000円くらいから購入することができます。一方、2万円を超える高価なワインは栽培や醸造に通常よりも手間暇がかけられていたり、収量が制限されたりしています。生産者の中には有機栽培を実践し、限られた本数のブドウしか栽培しない方針をとっている人もいます。また、有名畑かつ単独所有の畑であったり、作柄の良いヴィンテージしかワインにしない場合、そもそも本数が限られるため高価になるのも頷けます。
実際に手間暇をかけられたワインの味とはどのようなものでしょうか。味わいについて好みが分かれるところですが、そうしたワインは間違いなく質感が優れています。飲んでみると香りにも味にもうっとりするような体験が待っているでしょう。

Q.買ってから数年は寝かせないとダメ?

A.若いうちでも楽しめる!

そもそもバローロは通常で約3年、バローロリゼルヴァで約5年の熟成期間を経た長熟型のワインです。リリースされた時点で熟成した味わいがあり、買ってすぐでも楽しめます。近年、栽培や醸造の知識や経験が向上し、ネッビオーロ特有のタンニンがうまくコントロールされていて、攻撃するような厳しい味わいではなくなっています。もちろん、時間をかけて熟成させると、リリース直後とは違う風味が出てくるでしょう。少し寝かせてから開けたり、リリースから時間が経過したワインを購入する余裕があればベスト。それだけの深みが楽しめます。

Q.伝統orモダン、生産者のスタイルを知った方がいいの?

A.伝統とモダンの違いはあまりなくなっている

かつてバローロは、伝統派(クラシック)と現代派(モダン)でスタイルが違い、味わいにも典型となるものがありました。伝統派のワインには大樽を使った熟成感があり、現代派のワインはバリックを使った凝縮感があるイメージです。しかし、現在はどちらの生産者も醸造方法を模索した結果、その垣根はなくなりつつあります。いま、生産者が重視しているのがブドウの出来。その栽培条件や栽培方法の結果、できたブドウにあった手法を選択してワインの表現を模索しています。もちろん生産者のバックボーンや醸造方法を知ることは、ワインを楽しむ1つではありますが、あまり意識しすぎなくても大丈夫。飲んでみて、その生産者の表現や個性を楽しみましょう。

Q.いろいろなタイプのバローロを味わうには?

バローロ地図

A.まずは生産者の拠点となる村で選んでみて

まずは、11あるコムネそれぞれのワインを飲んでみるとよいでしょう。バローロを産出するランゲ丘陵は、複雑な地形や土壌を持ち、村ごとに個性が異なります。例えば、ラ・モッラ村やバローロ村はまろやかでタンニンも優しい雰囲気ですが、セラルンガ・ダルバやモンフォルテ・ダルバはがっしりしていて長熟タイプの味わいです。もちろん生産者や畑の場所でも畑の場所でも変わってきます。さらに深くいろいろなタイプや表現に出会いたければ、そこから深堀りしてみましょう。
→村の個性については、こちらの記事も参考にしてみてください。

Q.バローロの代表的生産者を5人教えて!

A.別所さんおすすめの5人を紹介

→別の記事にまとめています。こちらを読んでみてください!

Q.いつかは飲みたい憧れのバローロを知りたい!

A.稀少性があり、高価な3本をご紹介

バローロの中にはその稀少性から憧れとなるキュヴェが存在します。いつかは飲んでみたい憧れの1本として記憶にとどめておきましょう。

ジュゼッペ・マスカレッロ

バローロ モンプリヴァート・リゼルヴァ カ・ディ・モリッシオ2010 98,000円(参考価格)
薄い色あいながら芸術的な表現力で、孤高の存在感を放つジュゼッペ・マスカレッロ。「カ・ディ・モリッシオ」は、モンプリヴァートの区画のさらに選りすぐりの樹になったブドウだけを使い、優れたヴィンテージのみで醸造。骨格の大きさや凝縮度の高さが際立ったバローロとなっています。

ルーノ・ジャコーザ
バローロ ファレット ヴィーニャ レ・ロッケ リゼルヴァ 2014 88,935円(税込)
伝統生産者でも第一人者といわれるブルーノ・ジャコーザ。「バローロ ファレット ヴィーニャ レ・ロッケ リゼルヴァ」は良いヴィンテージでしか造られない偉大なワイン。通常のワインは白いラベルですが、ラベルが赤いことから、“赤ジャコ”の名前で呼ばれています。2014年は年間生産量5,740本とわずかで世界的に入手困難です。

ジャコモ・コンテルノ
バローロ リゼルヴァ モンフォルティーノ2014 110,0000円(税込)
バローロの巨匠といわれるジャコモ・コンテルノのトップキュヴェ。良年のみしか造られないうえ、年間生産量も2万本以下と稀少なバローロです。ただしリリースから20年は熟成させないと、うまく開かないといわれています。時間を待つ余裕も試されるワインです。

“イタリアワイン親父”別所さんから一言!

ともかくバローロを知りたいと、その入口に立ってもらったあなた!バローロを愛してる僕としては、その気持ちがとてもうれしいです。バローロはイタリアワインらしい酸が引き立った上品なワイン。いまや、渋さや重さが気になるワインではなくなっています。ぜひ、飲んでみてどんな味がするのかを確認してみてください。

第1回 王のワイン・バローロを知るための基礎知識
第2回 4種類を飲み比べ!対談「バローロってどんなワインですか?」
第4回 イタリアワイン親父おすすめ!バローロを代表する生産者5選

教えてくれたのは・・・
ラ・カンティーナ・ベッショ
東京都渋谷区神宮前2-25-5
03-3401-1991
月~金15:00〜21:00、土13:00~20:00  日祝休(祝日は臨時営業あり)
FB:https://www.facebook.com/LaCantinaBESSHO/
Instaglam:@lacantinabessho

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この記事を書いた人

編集長のアバター 編集長 ライター/ワインエキスパート

東京に暮らす40代のライター/ワインエキスパート。
雑誌や書籍、Webメディアを中心に執筆中です。さまざまなジャンルの記事を執筆していますが、食にまつわる仕事が多く、ワインの連載や記事執筆、広告制作も行っています。東京ワインショップガイドは2017年から運営をスタートしました。

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