バローロには数多の生産者がいて、ワインの表現もさまざま。その世界を堪能するための出発点となるワインを知りたいところ。そこで、タイプの異なる代表的なワイナリーを5つ選んでもらいました。選んでもらったのは、原宿のワインショップ「ラ・カンティーナ・ベッショ」別所正浩さん。イタリアワインを愛し、“イタリアワイン親父”と呼ばれる頼もしい存在です。「苦渋の選択すぎる・・・」と悩む別所さんが選んだ究極の5人とは・・・?!
第1回 王のワイン・バローロを知るための基礎知識
第2回 4種類を飲み比べ!対談「バローロってどんなワインですか?」
第3回 イタリアワイン親父に聞く! バローロの買い方Q&A
ジュゼッペ・リナルディ
“バローロの典型となる1本。優美さの中に頑固な気質が宿っている!”
バローロ村の伝統派と言ったらこのお方。ジュゼッペ・リナルディは、通称“ベッペ”として、地元で慕われた存在です。有機栽培を実践し、野生酵母で醸す自然なワイン造りでも知られ、1ヶ月に渡るマセラシオンや大樽での熟成といった伝統的な醸造を経てバローロが造られています。生産量は年間4万本に満たないほど限られ、そのうちバローロは約1万6000本。3つの畑を合わせた「トレ・ティーネ」と単一クリュの「ブルナーテ」の2種がリリースされています。バローロ村らしい優美さのなかに、頑固者らしい人柄を感じさせる味わいが特徴。ジュゼッペ・リナルディは2018年にこの世を去りましたが、娘のマルタとカルロッタが父のスタイルを守っています。
バローロ トレ・ティーネ2015 16,900円(税込)
バローロ ブルナーテ2015 17,400円(税込)
ジュゼッペ・マスカレッロ
“ロゼ色をした孤高のバローロ。
驚くほど薄いのにいきいきした表現力は芸術!”
バローロ地区外のモンキエロでの醸造が許可されているほど、古くからの生産者。カスティリオーネ・ファレットのモンプリヴァートを単独所有しているワイナリーです。製氷所だった建物をワイナリーとして使い、低い温度でゆっくりと醸造。マセラシオンは60日と長く、大樽熟成を経てDOCGの規定よりも1年遅らせてリリースされています。でき上がったワインは他に類を見ないほど薄い色合いなのに、枯れたニュアンスはなし! いきいきとした透明感が複雑な表現力を発揮。その異質ともいえる独自性が孤高の存在感を高め、もはや芸術品の域。「モンプリヴァート・リゼルヴァ・カ・ドゥモリッシオ」は、優良年だけに造られる幻のバローロ。一生に一度は飲んでみてほしい!
バローロ モンプリヴァート2014 25,800円(参考価格)
バローロ モンプリヴァート・リゼルヴァ・カ・ドゥモリッシオ2010 98,000円(参考価格)
ドメニコ・クレリコ
“バローロ好きにさせてくれた僕のスター!
1代でドリームを叶えたロマンのワイン”
70年代終わりから90年代にかけてバローロを変革したバローロボーイズの代表格。バリックとロータリーファーメンターを採用し、凝縮感のあるバローロを生み出しました。実はそれまでバローロを敬遠していた僕も2001年のパヤナというキュベでその味わいのトリコに。栽培や醸造の手法については、常に見直しを図り、当初よりも洗練されたスタイルになっています。ドメニコ・クレリコは、人柄も魅力的。酒とタバコを愛する男の中の男! 若者にバローロドリームを見せたいと、モンフォルテ・ダルバに堂々たるワイナリーを築きます。2016年に来日を果たし、当店にはサインもありますが、2017年に亡くなってしまいました(涙)。ただ、ワイナリーは親類によって継続されることが決まっています。
バローロ2016 7,250円(税込)
バローロ パヤナ2016 14,800円(税込)
バローロ チャボット・メンティン2016 14,800円(税込)
エリオ・アルターレ
“日本人が醸造を担当!丁寧な作業による緻密な味わいが魅力”
バローロボーイズのリーダーとしてモダンバローロの流れを率いたエリオ・アルターレ。ラ・モッラ村にワイナリーを構え、アルボリーナやカンヌビに畑を所有しています。短期間のマセラシオンと新樽によるバリック熟成で知られていますが、化学肥料や除草剤を使用しない栽培や野生酵母での自然で丁寧なワイン造りも魅力。味わいには凝縮感だけでなく、緻密さとまろやかさがあります。現在は、エリオの思いを娘のシルヴィアと日本人醸造家チョ・テスが受け継いでワインを醸造。チョ・テスの発案した「ウノ・ペル・ウノ」は、1粒1粒手作業で除梗し、完璧な状態のブドウだけで造られた1本。生産量は年間1500本で日本にもわずかしか入ってこない入手困難品です。
バローロ2016 13,000円(参考価格)
バローロ アルボリーナ2016 16,500円(参考価格)
バローロ カンヌビ2016 31,000円(参考価格)
バローロ ウノ・ペル・ウノ2016 45,000円(参考価格)
フラテッリ・アレッサンドリア
“ピエモンテの隠れた宝石!
最北端で造られる極上のエレガンス”
バローロのコムネの中で最北端に位置する小さな村ヴェルドゥーノの伝統生産者。北にいくほどエレガンスが際立つバローロにおいて、その味わいを象徴。“ピエモンテの隠れた宝石”と称されています。ワインのなめらかさや優雅さにおいては、右に並ぶものがないほど。味わいの表現力に対して、価格が抑えられているのもうれしいポイントです。2013年にワイナリーを訪れた際には、当主のヴィットーレ自らが車を運転し、3時間かけてミラノまでお迎えに来てくれました。老舗ワイナリーながら親切で勉強熱心な造り手でもあります。クリュを掲げた「グラモレーレ」はヴィットーレの母家系から受け継いだもので、凝縮感を特徴とするモンフォルテ・ダルバのもの。エレガントさを求めるなら、ヴェルドゥーノの「モンヴィリエーロ」がおすすめ。2017年からは通常のバローロもコムネごとに分けられるため、ヴェルドゥーノやモンフォルテ・ダルバの村の個性が表れることが期待されています。
バローロ2016 7,750円(税込)
バローロ サンロレンツォ・ヴェルドゥーノ2016 10,600円(税込)
バローロ グラモレーレ2016 10,300円(税込)
バローロ モンヴィリエーロ2016 13,500円(税込)
“イタリアワイン親父”別所さんから一言!
今回、5生産者を選ぶのは本当に苦渋の選択でした。もし6人ならブルーノ・ジャコーザも入れたいな・・・・・・。
生産者を選ぶにあたっては、コムネを代表するワイナリーを考えました。やはりバローロの個性はコムネによるところも大きく、それが違うタイプを選ぶコツになります。コムネの個性がわかったら、次は畑や生産者の違いを探ってみてください!
第1回 王のワイン・バローロを知るための基礎知識
第2回 4種類を飲み比べ!対談「バローロってどんなワインですか?」
第3回 イタリアワイン親父に聞く! バローロの買い方Q&A
教えてくれたのは・・・
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